「ヌードの夜」1993日本
■Story
「なんでも代行屋」を営む中年男のもとに、ある日「東京の流行の場所を案内してほしい」と謎めいた美女が訪ねてくる。彼はいぶかしがりながらも1日ガイドを務める。仕事後電話に吹きこまれた伝言から、翌日再び女のホテルへと出向くと、そこには血まみれの男の死体が残されていた。
薄幸な女とその女に魅せられ堕ちていく男の哀しい愛の形を描いた、石井隆監督おなじみ「名美と村木」の物語だ。「名美」のイメージにぴったりな余貴美子を始め、「村木」の竹中直人、酷薄なヤクザの根津甚八、獣じみた凶暴さが強烈な椎名桔平と、なによりその絶妙なキャスティングに目を見はる。留守番電話やドライアイスなど小道具の生かし方も心憎いばかりだし、透明な荒涼感漂うくすんだ色調の映像がゾクゾクさせられるほどなまめかしい逸品だ。(amazonから拝借)
■Cast
余貴美子
竹中直人
根津甚八
椎名桔平
岩松了
田口トモロヲ
小林宏史
室田日出男
■Director:石井隆
椎名桔平がゲイ役及び、ターニングポイントになった作品「ヌードの夜」見ました。
コレは昔からタイトルだけは知ってたんだけど、今回「アウトレイジ」で桔平ブームなんでやっと見ました。
※この記事は4年前に書いた記事の再録です。
監督は「GONIN」の石井隆監督。
「GONIN」コレは学生時代見に行ったんだけど、もう1回みたいなー
冗長な部分はあるものの・・・・
もうね、薄幸のヒロイン、余貴美子さん、めっっっっっさ綺麗!
身体の端々から立ちこめる薄幸さ傷つき壊れそうな色気にため息しかでない。
公開当初、余貴美子さんの年齢37歳位、とはっきり言ってトウの立ち始めた決して若くはない年齢ですが、この色気は若い女子には無理。
名美という女の哀しい人生が伺える雰囲気、表情、少したるんだ身体(太ってると言う意味でない、今のダイエットブームの女性の様に痩せすぎてないって意味です。肉体、って言葉がぴったり当てはまるなまめかしい肢体)少女性と成熟したオンナを感じさせて同じ女ながらうっとりですよ。
で、声がまた色っぽいのです。
ちょっと低めのハスキーボイスと喘ぐ様な息づかい。
喉の奥でひきつった様な呻き。
余貴美子さんってなんかイロっぽい女優さんだなーって以前から思ってたけど、ホントになまめかしさ全開。
濡れ場もかなり大胆で際どいシーン多々あり、キスシーンも邦画に珍しくディープキスしてます。
こういう邦画、久しぶりに見た。
監督が劇画出身の方だから、一コマ一コマが「絵」の様に決まってて「おぉ!」なる。
めくれあがったスカートから覗く白い下着とはみ出した柔らかそうなお尻の肉、脚を開いて誘う時のソファーにひっかけられた白い足・・・・計算された画の作りだと思います。
名美が車ごと海に飛び込み自殺を計るシーンの美しさ・・・「狩人の夜」のシェリー・ウィンタースを連想する美しくも残酷で哀しいシーンでもある。
石井監督は美女の死体に関心が強くあると思われる。
不幸な過去を背負い、犯され殴られ脅され搾取され続けた名美と、場末の世界で負け犬の様に生きる村木。
なんとも字ツラだけみるとチープで陳腐な男女の話ではありますけど・・・私自身はそういう辛気臭くていかにもーな男性が妄想する薄幸女は好きじゃないけど、どんよりとした湿気たっぷりな雰囲気に飲み込まれました。
音楽がまた気怠げな音楽に女性のかすかな喘ぎの様な声(余さんの声らしい)が入ってて雰囲気をもり立ててます。
実はストーリー的な部分には私はそんなに惹かれなかったんですが、そういう計算された画の作りと音楽という部分、そして村木役の竹中直人、ヒロインの余貴美子、この映画で注目された椎名桔平と言う役者の演技的な部分では満足です。
お話は、竹中直人演じる負け犬中年男視点と、ヒロイン余貴美子がいかに薄幸で男たちに痛めつけられ搾取されているのかと言った部分にクローズアップされてるので、2人の「哀れさ」にシンパシーを感じないと面白いとは共感できないかもしれない・・・・
私は村木みたいな自分を卑下する男は好きでないので(自称ぼんくらとかスゴい苦手だし)うむむ、となるんですが、竹中直人が押さえた演技でいい感じに演じてくれて「うむむ」部分は緩和されてると思う。
ラストで愛しい女の運命の悲しさに共鳴して子供の様に泣きじゃくる様には、その男の純情さにグッとくる。
女の為に泣く男、こんな男はなかなかいないから。
世間ではこんな男は弱虫のだらしのない奴、と言われるのかもしれませんが、石井監督はこういう優しい人なんだなって言うのが伝わった。
ヒロインの名美は不思議な女である。
彼女が村木の事をどう思っていたかは・・・・村木が名美に夢中な割には感じられない。
村木→名美と言う一方通行な部分が何とも切ない。
自分を散々犯し、脅し、搾取しつづけた行方(根津)の事を憎みつつも本当は愛していた。憎しみの方が強かったけどそうなんだろうな、と思う。
そしてラストシーンは・・・・
なんとも幻想的な終わり方で結局一体名美はどうなったんだ?と言う謎な終わり方が似合ってるんだよな。
ねぇ、これ一体どういう意味ですか???と聞くのは無粋からしら。
で、ゲイでキレキレ演技してる若い桔平(笑)
スゴい若い!つか身体が少年みたいに細い!!!!!!
腰めさ細い!
撮影当時29歳らしいけど、全然そんな年齢に見えない。
20代前半にしか見えないよ〜〜〜〜〜!
最初のしょっぱなからのシーンで、シャツがはだけた状態でこれまた半裸の根津甚八と登場する桔平w
このしょっぱなのシーンから汗で濡れた身体の若い桔平と腕に注射針刺してる(まぁ覚せい剤ですね)これまた上半身裸で濡れた身体の根津甚八がエロいんだよぉおおおお(笑)
男女エロもエロエロしいけど、男2人でもこのエロさ、両方満たしててスゴい(笑)
初めて見る子(桔平)に「この子だれ」と聞く名美に、ヤクザの根津甚八が「そいつは女にまるで興味がない」と答えるわけで、この2人、妖しいじゃねぇか、と思えばオーディオコメンタリーで桔平がこのシーンの事を「ホモセクシャルな雰囲気を出したシーン」と言ってたので、やっぱりこの2人はデキてる様です(笑)
だって演じてる人が言うんだから間違いない。
名美と桔平2人を愛人にしてる根津甚八、スゴいと言うか羨ましいぞ。
で、桔平の次は名美を犯す根津甚八な訳ですが、そんな2人を苛立った表情で見る桔平に萌えたw
おそらく散々桔平とヤッたと思われるのに、お次は女の名美を犯すとはなんて精力絶倫ヤクザw
桔平の役柄についてはあまりどういうキャラか実はよく分からないキャラでして、そこがちょっと不満ですね。
ものすごく根津甚八を慕っているらしいんですが、それがゲイ的な意味なんだろうけど、そういう部分が余り感じられないけど出番は結構多いんだな。
台詞や行動の端々から、母親の死体と過ごしていた過去のある幼少期、ヤクザの根津甚八に拾われてホモセクシャル的な意味で慕っている、というのは感じられるんですが・・・・
とにかくキチガイ演技で切れまくった演技の桔平がスゴすぎて笑ってしまった。
目とかイッちゃってたw
根津甚八の事「兄貴」とずっと呼んでる訳で(笑)大切な兄貴を殺されて半狂乱になりつつも結局殺した本人、名美に「一緒に店をやろう」と言うシーンはよくわからんのだが・・・私の解釈では桔平は名美に自分の母親を重ね合わせているのかな、と思った。
(「兄貴」呼びは『GONIN』で殺し屋DVカップルの一八がたけしの事、そう呼んでたね。)
この映画を見た後、「GONIN」を思い出すと、「GONIN」と重なるシーンがいくつかあってそういう意味でも興味深い。
桔平は「GONIN」ではパンチドランカーの役だったけど、「ヌードの夜」でボクサー上がりっぽい役だし(そして2人とも凶暴)惚れた男を「兄貴」と慕うホモセクシャルな関係なのは「GONIN」でのたけしと木村一八のDVヒットマンカップルの関係を連想させる。
またバブルで借金まみれになったリーマンが桔平を殺す訳だけど、この借金まみれになったリーマンは「GONIN」では竹中直人が不気味に演じてたりといくつかの共通性が見られる。
特典のオーディオコメンタリーで桔平がこの映画の思い出について話してるんですが、やたら「根津さん根津さん」言ってるのが印象的だった(笑)
とにかく「根津さんかっこいい」こればっか言ってる(笑)
まぁ確かに根津甚八はカッコいいと思う。
共演の竹中直人も根津甚八の事カッコいい、って言ってたしこの映画の中ではとにかくどーしょーもないヤクザだけど、カッコいいんだよねーーー