・5月
ファインバーグ・コレクション展 ―江戸絵画の奇跡―/江戸東京博物館
江戸時代って中国への憧れが強かったのを今さら知ったり。
歌舞伎の衣装や中国の文人の絵、説話を絵として表現したもの、絵の表現そのものが中国絵画から影響を
受けてたりと恥かしながら初めて知りました。
最期の方に展示されてた浮き世絵は、きれいなんだけど女性ばっか(ほぼ遊女)であんまり面白くなかった。
海女とか田植えしてるのに、華やかな着物や装飾してる女性しか出て来ないとか、なんか美術における女性って…
と思ったり。美術よく知らないけど。
大黒さんの餅つき。
見てるだけでこっちもニコニコ。前半後半入れ替え制みたいで、コレは今回は生でみれませんでした。
これも愛らしくてニコニコしちゃう。
虎は現物がいないので、虎の毛皮と猫をモデルに描いたみたいで虎と言うよりまるで猫。
・6月
「もののあはれ」と日本の美/サントリー美術館
レオナルド・ダ・ヴィンチ展―天才の肖像/東京都美術館
現代日本におけるアートのアクティヴィズム(トークプログラム)/府中市美術館
・7月
江戸の美男子−若衆・二枚目・伊達男(前期)/太田記念美術館
江戸時代の美男子の移り変わりを区切って展示。
初期は中性的に表現されてたのが、次第に幕末には侠客的な男っぽい人相や刺青をいれた野郎に。
でも顔は当時の人気歌舞伎役者なんだな。
今見てもモダンな表現で、着物の柄など楽しめる。
刺青は「水滸伝」の影響がかなりあるみたいで、侠客もそう言う所から来たのかな〜と。
当時の見目麗しく人気歌舞伎役者として、五代目松本幸四郎とか市川なんとかとか尾上菊之助?
とか描かれてて歌舞伎好きな人は楽しめるんじゃないでしょうか。
初期時代は陰間茶屋や戦国時代の名残で、若衆と呼ばれる前髪のある中性的な美少年絵が多い。
実際「〜美人」と名付けられた絵もあるし、女性と判別つかない。
そして女郎と絡んでいる絵もやはり多い。
国芳の絵は着物の柄の髑髏が、よく見ると猫が集まってたりと遊び心あるしやっぱり表現とか好きだな〜。
天保時代の絵が印象的なの多かった気がするけど、天保改革と政治的な弾圧があると、
表現する側もまたそれに逆らう様な力強さが表出するのかな、と思ったり。
david sylvian - abandon/hope /青山スパイラルガーデン
曼荼羅展 宇宙は神仏で充満する/根津美術館
みっしりと描き込まれていてその熱意が凄いと言うか、密教、宗教絡みの絵画らしいなと思います。
絵師名が不明な所も宗教画らしいし、
この絵を描いた人はどんな人でその時代にどう生きてたのかと思いを馳せたり。
如来や明王ではなく、実役職の人間が描かれている物も展示されてて、
それらの絵には鳥居が描かれてるのが興味深い。
他に館内には中国陶器とか茶釜、茶道の道具が展示されててなんか不思議だった。
根津美術館の庭園は想像してたのよりもかなり広く暑かったので全部は回れなかった。
緑豊かで秋はまた紅葉してそうです。
塀から卒塔婆が見えたんだけど、隣は青山霊園なのかな。
・8月
江戸の美男子−若衆・二枚目・伊達男(後期)/太田記念美術館
なよやか柳腰男子から月代の青さが色悪的な色男、全身見事な水滸伝的刺青を入れた野郎衆と見応えありました。
女性連れの粋で麗しい若衆が、これまたイキのよい若衆と意味深に橋の上で視線を交わす絵に込められた物語性には
色々な見方が出来て楽しい。
着物の柄、髪型の流行りも興味深い。
時代が下るとどんどん着物も着崩れ、踝を出した丈の短い着こなしは今の子たちとなんらかわらない。
そして手拭いはスカーフ的かつ実用的で野郎たちの首に巻かれてる。
・9月
狩野派再考〜再興!最高!再考?狩野派再点検〜/板橋区立美術館
明治になってから、政府が御用達絵師を持たなかった為に自然消滅していったのが面白いし、
時の権力が徳川、豊臣、天皇とどっちに別れるか分からない時には、
血族をどっちに転がっても大丈夫な様に3つの権力者側に振り分けたりと面白い。
基本的に武家出身の人間、血族で固め、同じ狩野派の中でも明らかな身分制度があったりととことん武家体質。
でも絵は柔和そうなやまと絵が多い印象もあるけど、古典だと考えればそうでもないかも。
狩野派と言っても似た様な絵ばかりでなくバラエティに富むのは歴史と所属人数が多いからでしょうか。
幕府御用達でも江戸後期になると浮世絵の世界から入って来た人らもいたりして
河辺暁斎の絵はダイナミックでユニークだから人の目を惹きやすい。
あと本当の意味で御用達的な東照宮の絵柄考案や下絵?を描く表舞台には出てきにくい人達も興味深いです。
・11月
特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」/東京国立博物館
日本は文人絵からかなり影響を受けたし、憧れが強かったんだなと実感します。
山水画は日本のよりも緻密でびっしり描きこむ人が多いイメージ。
東京国立博物館 東洋館
http://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=hall&hid=13
上野は地理的に余り来ないんで上野博物館も美術館もあまり知らないんですが、
色々見る所たくさんありますね。
朝鮮、中国、エジプト、イラン等のアジア展示(常設してるのかな)していて
今日は3階まででタイムアウトしてしまったからまた今度来よう 。
いるだけで悠久の時間を体感できます。
青磁や白磁をたくさん見れて満足。
中国のはかっちり精密、朝鮮は柔らかで優しいイメージ。
あと朝鮮の武将?の上着の装飾やら刺繍が素晴らしくていつまでも眺めていたい。
纏足は初めて見たけど、赤ちゃんの靴みたいに小さすぎてゾッとした…
あんな足じゃほとんど歩けないでしょうね。
朝鮮では文具類(水滴と呼ばれる硯に入れる水入れやら、筆さし、硯類など)
のデザインが変わったバリエーションで作られていて、遊び心たっぷりで身近な物に凝るのはみんな一緒。
書斎文化。
中国の死者と共に一緒に埋葬する青み帯びた陶器の兎がかわいかったな。
キリッと凛々しくて耳も短くて一瞬兎に見えない。
あんなに凛々しい兎は見たことない。
【観劇】
・7月
歌舞伎アマテラス/赤坂ACTシアター
素晴らしかったです。
友人と大泣きして暫く放心状態。
緻密に作られた舞台設計と動作に、躍動感溢れる鼓童の和太鼓に剛柔の美。
布のドレープから光沢まで考えられたんでしょうね。
男性が演じる女神と男性を演じてきた女性が演じる女神の触れ合いにまた涙が出てしまった。
余り舞台は観ないんだけど「アマテラス」の様な神がかった作品を観れたのは本当に幸運と言うか、
よかったな〜と噛み締めてる。
素晴らしい才能を持った人には素晴らしいスタッフが集まるんだと実感。
また観たい。