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Ninth

日々観た映画についての記録と備忘録
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コネクテッド/Connected 保持通話 2008香港・中国
 
コネクテッド/Connected 保持通話 2008香港・中国
ルイス・クー/古天樂
バービィー・スー/徐熙媛
ニック・チョン/張家輝
リウ・イエ/劉燁
エディー・チョン
フローラ・チャン
コン・ベイビー
ルイス・ファン/樊少皇
チョン・シウファイ/張兆輝
ウォン・チョーラム/王祖藍
ヴィンセント・コク/谷徳昭

アクション指導:リー・チュンチー
脚本:アラン・ユエン
監督・脚本・製作:ベニー・チャン/陳 木勝


2004年のアメリカ映画『セルラー』のリメイク
ロボット設計士でシングルマザーのグレイスは、ある日誘拐・監禁される。
監禁先に設置されていた電話機を犯人に壊されるも、ロボット設計士の知識を生かし修理する。
その電話機で繋がった相手は見知らぬサラリーマンの携帯電話だった。 
顔も知らぬ者同士が電話を通してストーリーが進められていく。
(Wikiより)



運動神経よくないルイス・クーさんが激しいアクションしてるらしいと聞き及び、どれどれ大丈夫かいと観ればアクション担当はニック・チョン先生でしたね。
ルイス・クーさんも一応何度も死ぬ様なアクションしてるけど、ほとんど受け身で悲鳴あげる方が多いw
しかもこのダメっぷり、何も出来ない間の悪さっぷりとか演技とは思えない程上手過ぎてこの人大丈夫?と心配になるレベル(笑)
本人、表情が乏しい人なので、この位オーバーなコテコテ香港コメディ演技の方が向いてるんですかね。
もう映画中盤まではキャーキャー悲鳴あげてるルイス・クーの何も出来ないっぷりのダメっぷりにイライラさせられる。
しかしソコがミソで、何も出来ないダメルイス・ク―が己の今までの人生のダメっぷりを振り返り、ダメなりに頑張り始めます。

ベニー・チャンと言えば激しい爆破!車飛んじゃった!な香港オーバーアクション映画の代表格だと思うんですけど、こんな間の悪いしかも運動神経悪くて何もしない主人公で大丈夫かと思えば、巻き込まれ型主人公としてルイス・クーの乗ってる車が飛んだりとちゃんとお約束してます。
つか何度も言うけど、最初の方のカーアクション、もうそこまで車飛ばしたら死んでるから(笑)

で、巻き込まれ型主人公として何も出来ない情けないサラリーマン、ルイス・クーさんですが、やはりこういう映画なんで殴り合いとか銃撃戦も出てきます。
そこはジョニー・トー監督の「ブレイキングニュース」で不死身のターミネーター刑事っぷりがハマってたニック・チョン担当ですよ。
清々しすぎる程のいい刑事役です。
「毒戦」「トリプルタップ」「エレクション」等のヒドすぎるゲスか、この作品等の可哀想な程、情けない役の似合うルイス・クーさんとは正反対です。

大陸からリウ・イエが出演してますが演技がフランシス・ンみたいな分かりやすい悪役演技だったのはどうしちゃったんでしょうか。
そもそもあの髪の色(シルバー?)にグラサンにベレー帽とか目立ち過ぎて分かりやすい悪役なのもベニー・チャンらしい(そゆとこ好き)
ルイス・ファンが出演しているのは最期の方にやっと気付いたんですが、アクション出来る人なのに随分勿体ない使われ方。

最期までハラハラさせてプラス親子愛とかあったりして、なかなか面白かったです。
お互い見た事の無い人間同士が、携帯だけで救命を求め、助けようとするアイデアが元々面白いんだと思います。
でもリメイクのせいなのか、あまりベニー・チャンっぽさは感じなかったり・・・




| 映画*K | 20:37 | comments(0) | - |
嘆きのピエタ/피에타 Pietà 2012韓国
嘆きのピエタ/피에타 Pietà 2012韓国
チョ・ミンス
イ・ジョンジン
ウ・ギホン
カン・ウンジン
クォン・セイン

監督・脚本: キム・ギドク
2012年ヴェネチア映画祭・金獅子賞受賞




キム・ギドク監督。
韓国映画界では「奇才」と言う意味でかなり有名らしいと言う事は知ってましたが、作品自体を観るのは初めてです。(でも本国では不遇らしい)
過去作品の概要から、描写も話も過剰で痛いんだろうな、ドキドキ怖々と観る事になりました。


お話は、30年間親の顔も知らず、天涯孤独な非業な借金取り立て男(イ・ガンド)の前に、一人の女が自分が母親だと登場します。
この借金取りの男は、利子が10倍にも膨れ上がった債務者に重傷を負わせその保険金で返済させると言う血も涙もない男です。
最初は当然の如く母と名乗る女を手ひどい仕打ちで追い返そうとするもの、どんな事をしてもイ・ガンドの元に寄り添い、捨ててしまった事を謝り、無償の愛を見せる女にイ・ガンドは次第に母親だと認めるのですが・・・




映画冒頭から男の眠っているような自慰シーンから始まり、動物の死体など不気味なイメージ映像が続きます。
そして債務者への残酷な仕打ちを顔色を変える事なく遂行していく男。
最初の方で生理的、感情的に人間の嫌になる部分を刺激してきます。
しかも最初に被害に逢う債務者の夫婦・・・重傷を負わされると分かっているのに、呑気に劣情を催す夫とそれを動物の様に受け入れる妻・・・そんな事してる場合じゃないと思うんですけど、この債務者以外にも同情を得る様な弱々しい描写はされていないです。

主にイ・ガンドが担当する債務者が多いのが、隣には高いビル群の立ち並ぶ下町の様な零細町工場ばかり。
おそらく次第にこの町工場も取り壊されビル群が立てられて行くんだろうなぁと言うのが予想させられます。
日本でも同じ風景があった事を思い出しました。
それだけに彼らのその後が予想できます。

映画の中で「金」「金のせいで」「金なんかの為に」そんな台詞がいくつか出てきます。
お金(資本主義?)への批判的な部分があるみたいです。
そういう世界で生活していてあまりにもそれが当たり前すぎていたけれど、お金によって人間は簡単に振り回されます。
金が無くて自分の命を投げる人、重傷を負わされてまで金を借りる人間。
主人公イ・ガンドの様に生きる為、金を得るために他人に重傷を負わせる男。

しかし無償の「母の愛」を見せてくるミソンは金とは関係ない・・・
他にも最初の債務者夫婦の姿とか、映画後半ではまるで地獄巡りの様にイ・ガンドがあらゆる家族や夫婦の愛を見せつけられる事になります。

愛は無償と書くと陳腐極まりないんですけど、お金が関係ない人間関係は実際としてあります。
ただ可哀想な事に、主人公のイ・ガンドはそれを全く知らないで育ってしまった様です。


映画中盤から段々「ある仕掛け」が見えてくるのですが、それは少しずつ劇中で情報を提示される事で観客は理解していくのに、当事者であるイ・ガンドだけは全く気付けず狂乱するのが滑稽に映し出される。
そして観客も問答無用にイ・ガンドの巡る地獄巡りにつき合わされ、なんだかぐったりさせられます。

地獄巡りを終え、自分がいかに可哀想な人間なのかイ・ガンドは痛感し、しかしやっと念願の母親、ミソンを見つけた事で(あんな形であれ)怒りや傷付くよりも救われた・・・のかなと思いました。
もう母と言う概念は関係なく、誰かがイ・ガンドの事を愛してくれた、と言う事が重要だったのかな、と。
ただそこまでしてくれる人間が、皮肉な事に訳ありなミソンしかいなかったと言う。


韓国ってかなりマザコン、と言うか母親が息子にべったり、息子も母親を溺愛していて、それが社会的に当たり前と言うイメージが強いんですが、そういう国からこういう映画や「母なる証明」(未見)が出てくるのは何かその底にあるのかな、と思ったりしてます。
今も母性愛映画は世界各国で作られており、それは普遍的なテーマだからだと思うけど、この映画は少し違う趣を感じるので。


いびつさが大きいからこそ、創作世界や表現は広がるのかな、と思ったり。
だったら日本もそういう映画が出てきてもいい頃じゃないかなぁ(独り言)


ミソンが「可哀想」と叫ぶシーンは私もついつい涙が出てきましたが、それが一体何に対しての涙かはわかりません。
ただ激しく心を揺さぶられました。
そういう人間の感情を首元ひっつかんで揺さぶるストレートさがこの映画のパワーだと思います。
あまりにも表現が直裁すぎて、寓話っぽい作りです。
(イ・ガンドがミソンに差し出す肉片とか・・・最初、そ、それは何?一体ドコのお肉?とぶるぶる震えながら眺めていた)

あと動物が結構出てきたり。
殆どの動物は食べられたり、轢かれたりとその生存は不幸なんですが、その命を掴んでいるのが人間なんですけど。そしてそんな人間は金に首根っ子掴まれている。
階段でぬめぬめうねうねさせているウナギが印象的です。
(どうでもいいけど、韓国もウナギを食べるのだな、と思った)


ミンスの衣服が朱色系の赤とモスグリーンの組み合わせで、灰色の工場の景色の中で映えます。
シャッターがときおり黄色だったり。
映画冒頭、灰色の町工場とその色の対比でビュフェっぽい。
低予算の為にセットを組まないで町工場などの建物そのままで撮影したそうですが、工具や機械の無造作な置かれ方がまるでセットの様で驚く。



ミンス役の女優さんは母親にしては色っぽすぎる。
赤い口紅に濡れた様な黒い目。
素晴らしい演技です。




【ネタバレ的な・・・】
最期のシーンは強烈。
え、まさか・・・と思ったらホントにやっちゃうし。
昔の処刑方法みたいで、そういう含みもありそう。
夜の明け切らない、早朝の薄暗い道路に墨の様な赤い道が遠景から撮られてるのが怖いんだけど綺麗で目が離せなくて、なんだかその美しさに涙が出そうになる。



【どうでもいい事】
主役の男性がアイライナーを入れてるのが気になります。
他のいわゆる韓流?と呼ばれる男性たちも結構、アイライナー(しかもインラインに)入れてますけど、何なんでしょうか。
韓国では男性が化粧をするのは普通で、アイラインも当然入れるのかしら、と気になります。









| 映画*N | 23:16 | comments(0) | - |
パリ猫ディノの夜/Une vie de chat 2010フランス
 
パリ猫ディノの夜/Une vie de chat 2010フランス
(声の出演)
ベルナデット・ラフォン
ドミニク・ブラン
ブルーノ・サロモネ
ジャン・ベンギーギ

美術:ジャン=ルー・フェリシオリ
音楽:セルジュ・ベセ
脚本:アラン・ガニョル
監督:アラン・ガニョル/ジャン=ルー・フェリシオリ




朴訥としながら、カクカクした直線的な印象を与えるアニメーション。
影絵や切り絵っぽさもある。
でも猫特有のぐにゃぐにゃしたあの身体の感触や、しなやかな動きが優美で猫好きなら更に楽しめると思います。
猫は飼った事ないけど、結構猫の習性が随所に表現されててそこがまたユーモアのポイントとなっております。
当たり前だけど、スタッフは猫好きなんだと思います。猫の自由さと気高さを愛してるんだろうと想像させます。
でも逆に少しだけ登場する犬の扱いは可哀想(笑)


お話はシンプルながら、センスのいいタイトルバックと音楽、そしてフランスらしいユーモアにクスリとさせられます。
特にギャング団の描写がアニメーションらしくマヌケな部下たちと横暴なギャングのボス(性格破綻者)、そしてケバい情婦(この言葉がピッタリな所がいいのよね)と往年のフレンチノワールらしさがあります。

パリ猫ディノの飼い主である少女ゾエの母親が、警視である所もフランスらしい。
そして夜の飼い主である、こちらも猫のようなしなやかな身体能力を持つ孤独な怪盗ね。
フランスでも正義感が強い怪盗さんはいるのね、とちょっと思ったけど(笑)

眼下から見下ろすパリの夜景や、ノートルダム寺院は素敵。
そしてギャング軍団が狙うお宝「ナイロビの巨像」のビジュアルがなんだかおちょくってるみたいで笑えます。

上映時間も70分とコンパクトで、大人から子どもまで楽しめると思います。




| 映画*H | 20:18 | comments(0) | - |
殺人の追憶/살인의 추억 Memories of Murder 2003韓国
 
殺人の追憶/살인의 추억 Memories of Murder 2003韓国
ソン・ガンホ
キム・サンギョン
ソン・ジェホ
ピョン・ヒボン
パク・ノシク
パク・ヘイル
チョン・ミソン

音楽:岩代太郎
監督:ポン・ジュノ

軍事政権下で比較的治安のよかった1980年代に発生し、10人の犠牲者を出した華城連続殺人事件を元にした戯曲の映画化作品。
なお、実在の事件を題材にしているが原作は戯曲であり、映画はあくまでフィクションである。
(Wikiより)



※Twitterプラスα
未解決連続婦女暴行殺人事件と言う事で恐る恐る観た訳ですけど、OPの長閑な田園風景と田舎の子どもたち、酷い捜査方法なのにユーモラス、でも徐々に異常な犯人に追いつめられて行く刑事たちと周囲…とサスペンスであり一級の人間ドラマ。

ソン・ガンホ演じる刑事が最初の死体を見つけ覗く田んぼの側溝の闇。
クライマックスでの疑惑濃厚な容疑者が消えて行くトンネルの闇。
そして最期に刑事を辞めたソン・ガンホが再びふと覗いた空っぽの側溝。
時代を跨ぎ闇は続き、ふとした日常で再び喚起される闇の記憶。

民主化に流れ、市民の目が厳しくなり、田園風景が多い田舎町に工場が立ち並び余所から多くの人間たちが流れて来たりと、韓国が変容しつつある時期に現れた異常な犯罪。最期の女の子の言う「普通の顔」と言うのが怖い。

ソウルから来た知的刑事があの事件の後にどうなったのか気になりますね。
「ゾディアック」のトースキー刑事の様に続けてるのかなぁと想像したり。
二人の上司となるゲロ吐いてたおじさん刑事、どこかで見覚えあるんだけどどこだろうw

面白かった!と言うとアレですけど、ホント面白いと言うか技術的にも全て上手い。
題材的に陰湿でダークになりがちなのに、飄々としたユーモラスを含めて描いてて、それでも締める所はちゃんと締めてるし。
あの時代の韓国の田舎風景や民家等の美術も興味深い。

しかしあの飛翔力抜群な飛び蹴り?は一体(笑)
あの飛び蹴りだけで場の空気をガラッと変えてしまう威力。
韓国警察は飛び蹴りが実習としてあるんでしょうか(笑)

林の中で不審行為(まぁアレですよ)を働いていた男を追いかけ、皆が寝静まった田舎町を追走する二人の刑事。
民家をはぁはぁしながら抜けると、まるでそこは雪国だった、の如く忽然と夜の闇から現れる巨大な工場の灯りと労働者たち。
まるで別世界みたいに。
みんな同じ作業服でゾロゾロしてて誰が誰だかわからない。
夜の田舎なのに、こうして突如異世界の様に現れた要塞じみた工場が不気味。
無個性の象徴。
日本でもどこの世界でもある事だけど、突然の近代化、都会化。
それについていけない人間もいるんだろうなぁとぼんやり思ったり。
そう考えると、なんだかんだいって田舎刑事でいい加減そうに見えたガンホ刑事は柔軟なんだな、と思う。
この時代の韓国は社会情勢的にも揺れていて、反政府勢力の抑圧や公安対策に傾倒していて、刑事事件や犯罪捜査に手を抜いしていたのが映画でも出てくるし。
時代の裂け目を感じる。


ガンホの部下が飲み屋で暴れて、大学生と喧嘩になって脚の怪我があんな事になってしまうのは、おまわりさんは偉いと言う過去の感覚から近代的な民主化の流れの一貫として出てきたと思うし。
さんざん飛び蹴りしてた彼の脚があんな事になるのは皮肉で教訓的にも見える。


都会から来た大卒で英語も読めるエリート刑事と、田舎のいい加減捜査をするガンホ(自白の強要とか拷問したりする癖して憎めない!専らガンホしか出来ない芸当)は最初は当然対立していくんだけど、初歩的捜査ミスや、拡大していく被害、つまり国家権力を持っている刑事なのに、見えない犯人によって段々精神的にも追いつめられていく。
最初はスマートだった都会の刑事が次第に狂い、自分で否定していた自白の強要へと走って行くのが痛々しい。
この人はこの後、どうなったんだろうと心配になる。

ガンホの役は人間のしょーもなさと正直さと本来持っている善良さ・・・そんな人間味ある役柄でこれは彼しかできない役だなーと思います。

人間の営みと、あの当時の韓国社会を上手に絡めて描いていて非常に秀作だと思います。

| 映画*S | 21:34 | comments(0) | - |
殺人の告白/내가 살인범이다 Confession of Murder 2012韓国
殺人の告白/내가 살인범이다 Confession of Murder 2012韓国
チョン・ジェヨン
パク・シフ
チョン・ヘギュン
キム・ヨンエ
チェ・ウォンヨン

監督:チョン・ビョンギル


すごい面白かったです。
観る予定全く無かったのですが、Twitterでかなり評判が良かったのでまた話の内容もよく知らないで観に行きました。
そしたら色んな要素がてんこ盛りの盛りに盛りまくって映画冒頭からガラスブチ抜いて、殺人犯と刑事の激しい追跡劇から突っ走り、最期までハイテンションのまま突っ切って終わりました。
この恐ろしい程のテンションの高さ、最初から最期まで全く変わらないテンション(休み的なシーンが無い)に初見は付いて行くのがやっと、と言うか監督は見てるこっちを試してるの?と思う様なメーター振り切ったハイテンションでした。
疲れたけど、見終わった後の疲労感は全力疾走を終えた心地よい疲れを覚えました(笑)


映画は15年前の連続殺人事件から始まります。
自分がその連続殺人の犯人だったと名乗る男が時効が成立したために無罪となり、詳細を書いた本を出版します。
そのルックスの美しさとセンセーショナルな出来事から一躍メディアからスター扱いを受けますが、当時事件を担当していた刑事を挑発し・・・と言った話から色々と絡んできます。
主人公はこの刑事であり、様々な人間たちが絡んで行きます。



「殺人の追憶」を連想とさせる、と言うか元の殺人事件が実際の韓国で起きた華城連続殺人事件をベースにはしてますが、「殺人の追憶」とはテイストがまた違います。
映画冒頭の雨の中の追走劇は「チェイサー」も思わせます(この映画も華城連続殺人事件っぽい連続殺人の話だし)

監督がアクション学校出身のせいか、冒頭の雨の中の追跡劇、奇想天外なカーアクション(アクロバティックすぎて思わず笑ってしまった)等、アクションの斬新さは勿論ですが、そこに各登場人物たちの「恨」の感情がぐるんぐるんと絡み、こってりとした味付けになってます。
そしてこんな題材でありながら、結構笑えるユーモラスなシーンがあります。
他にも行き過ぎたメディアの報道の仕方や整形等、韓国社会が抱える問題提起をして色んな要素がジャージャー麺に絡むタレの様にぐっちゃぐっちゃに絡み、最期は妙に爽やかな気分で終わらせるので面白いんですけど。
劇中のジャージャー麺の使い方も上手いです(笑)

チェ班長役のチョン・ジェヨンは、口汚い言葉を吐きつつも温かみのある存在感と緩急ある演技をしていており、自然と観てる側の心を引き寄せる人だと思います。
左右非対称な目が印象的です。






【ネタバレ的なこととか】
遺族会の人たち、色んなエキスパートがいてオカシイ。
集まってる場所とかもホラー映画の殺人鬼の家みたいだし。
映画鑑賞時はパク・シフさんがアイドルだと知らなかったので、なんでこんなに舐める様に男の水泳シーン撮ってるの?とか、しかも毒蛇をプールに離してふふふ…とか随分回りくどいし、非効率的だな、とジワジワきます。
でもそういうのやりそうなキャラクターなのがまたジワジワくる。


チェ班長が三つ巴カーチェィスシーンで「正気かっ!」ってハンドル握りながら叫んでるの、あれはアドリブかと勘違いしてしまう程、観客の声を代弁しててやっぱりじわじわくる。正気じゃない事やってますから。

で、わざとやってるのかよくわからない、イケメンのバスローブはだけまくりの(海)パンチラシーン・・・狙ってるのか何なのかカオスすぎる。

主演のチェ班長役のチョン・ジェヨンは「何度か映画を鑑賞すると穴がある脚本。でも初見で気付かせない物がある」と凄い正直に言ってますけど(笑)確かにアレ?あれは?と言うシーンはあります。

J役の人、登場してきた時、え、この人、女性?おばさん??なんか睫毛濃いし、お目目キラキラしてるし、いきなりおもむろにカチューシャつけちゃってるし、と思ったけどやっぱり男性でした。
なんか韓国の役者は脇役でも顔のインパクト強烈な人が多い気がします。
しかもこのJ役がまた憎々しくて腹立だしい演技だから余計に





チェ班長役のチョン・ジェヨンさん。
役柄やオフショットの写真見るとだいぶ体重も顔も雰囲気もコロコロ変わります。
(韓国の俳優ってそういう人、多いですけど)
役者として気になります♡


| 映画*S | 21:39 | comments(0) | - |
グランド・マスター/一代宗師 The Grandmaster 2013 香港・中国・フランス
グランド・マスター/一代宗師 The Grandmaster 2013 香港・中国・フランス
トニー・レオン/梁朝偉
チャン・ツィイー/章子怡
チャン・チェン/張震
ソン・ヘギョ/宋慧喬
ワン・チンシアン/王慶祥
チャオ・ベンシャン/趙本山
ゴン・パオセン/宮宝森
マックス・チャン/張晉
ロー・ホイパン/盧海鵬
バーグ・ンー/呉廷燁
ロー・モン/羅莽
エルビス・チョイ・カムコン/徐錦江


動作設計:袁和平(ユエン・ウーピン)/袁信義/凌志華/袁祥仁
音楽: フランキー・チャン/陳勳奇
監督・脚本:ウォン・カーウァイ/王家衛




【ネタバレしてます】


あまり評判よくなかったんですけど・・・私はすっごく燃えたし楽しめたしこの世界観に浸れました。
宣伝が合ってないとかそういう話もかなり聞こえて来たのですが、どんな宣伝の仕方をされたのかよく知らないで観たのも良かったのかもしれません。
つまり先入観が無かったと言う事ですね。
でも個人的には、全体的にかったるい印象を持つウォン・カーウァイ監督作品って時点で「カンフーのテッペン取ったる!」みたいな内容じゃないのは予想はできますが。
あと、ドニー・イェン版「イップマン」を観てたので、同じくトニー・レオン演じるイップマン(葉問)がどういう人か知ってたのもスッと入っていけた理由かな、と思います。
ただドニー・イェン版のイップマンは穏やかで人徳者ですけど、トニー・レオンが演じるイップマンはクールだけど好戦的でなおかつハードボイルドなので、微妙に性格が違うのもまた面白いです。
カンフーの達人ではあるけれど、まぎれもなくウォン・カーウァイが今まで撮って来た男たちの姿と近い部分はあるかな、と思います。
特にチャン・ツィイー演じるルオ・メイとイップマンの、互いに惹かれ合いつつも決して交わらない時間とか。
「欲望の翼」から全く不動。
交わらない、重ならない、果たす事ができなかった約束。
その理由が「戦争」と言う、個人ではどうしょうもない出来事であり、どんなにカンフーの達人でも所詮一人の個人なんだなぁと思わされます。



一応主役はイップマンですが、私にはこの映画は群像劇に見えました。
美しい映像の中であらゆるタイプのその道の頂点を極めた人間たちが登場し、時代や己の感情に翻弄され、ある者は敗者となり、ある者は消えて行き、ある者は弟子を取りさらにグランドマスターとして邁進していく姿が絵巻物の様に描かれております。

私はこんな美しいアクション映画(と言うジャンルではないけれど)をずっと観たいと思ってきたので、理想の映画でした。
ラストの回想で、ルオメイと父親が雪の中でカンフーをしているシーンはまるでバレエの様に美しく、かつ娘の父親への思慕が少女の様に溢れていて非常に美しかったです。
(「エル・スール」を思い出した)


正直カンフーとかアクションとか専門的な事は分かりません。
ただ観て美しいと思ったので、そう感じただけです。
何をしてるか分からない、と言われるアクションシーンも俳優のクローズアップの多いこの映画や世界観と合っていて意外と気になりませんでした。
そんなに何をしてるかからないくもなかったですし。
アクションシーンでのスローモーションも自分的にどうかな、危惧しましたがそれも不思議と気にならなかったですし。


しかし出番は少ないですが、チャン・チェン演じるカミソリが香港に来て組織と対決するアクションシーンはカッコ良かった。
スーツにカンフーの構え(八極拳と言う流派)、雨の降りしきる夜と雰囲気満点だし、実際チャン・チェンはあまりの長い撮影期間に(1年以上撮影してたらしい)八極拳の大会に出て優勝したと言う微笑ましいのかスゴいのかよく分からない実績がある様で・・・


雪の降る中、走る機関車の脇で繰り広げられる因縁の対決も印象深いです。
毛皮に包まれ優雅に、しかし烈しいアクションをするチャン・ツィイーが美しいのは勿論ですが、敗北し、膝を付き泣く兄弟子の馬三も印象深いです。
馬三と言うキャラクターは業の深い役柄で、時の権力に阿ったりしていただけに敗者となった姿が印象深く残ります。



映画の中でも語られますが、武術・カンフーの達人とは、ただ強いだけでは駄目で、その人格や知性も重要視されると言う事が台詞で何度も出てきます。なのでエラくカッコいい台詞がいっぱい出てきます。
しかし勝負の結果はシンプルで、敗者はただ横たわっているだけ、みたいな台詞も出てきます(ウロ覚え・・・)
父親の仇を討ったルオメイは術を人に伝えると言う考えは全くない人なので、誰にも教える事なくその道は消えます。
彼女の父親は養子の馬三と娘のルオメイの二人に技を分けて託したのだけれど、その考えが間違えていた様な結果になってしまって皮肉です。


そうかと思えば、大陸で政治活動をしていて香港へ亡命をしたカミソリ(チャン・チェン)は、香港で弟子たちを抱える事になり、その術は拡散していったりと、人間の人生とはわからないものだなと思わされます。


俳優の顔のアップが多く、ワンカットワンショットが絵の様に決まっているのでグラフィックノベルの様でもあります。
登場人物たちのモハメド・アリの様な名言の数々や、ルオメイに従う肩に猿を乗せたおじさんとか凄く劇画的でもある。
そういう部分も私は好きです。


群像劇的であらゆる頂点の人たちが登場しますが、技といい、時代に翻弄されつつも己を律し、後世まで技術を伝達したイップマンが結局グランドマスター、一代宗師なんだろうなぁとは思います。


50〜60年代の美術が非常に美しい・・・




非公式と言う事ですが、とても面白い。
映画《グランド・マスター》非公式DATABASE


| 映画*K | 20:55 | comments(0) | - |
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命/The Place Beyond the Pines 2012アメリカ
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命/The Place Beyond the Pines 2012アメリカ
ライアン・ゴズリング
ブラッドレイ・クーパー
エヴァ・メンデス
デイン・デハーン
レイ・リオッタ
ローズ・バーン
マハーシャラ・アリ
ブルース・グリーンウッド
ハリス・ユーリン

監督: デレク・シアンフランス


あまり良く知らないで観に行ったのですが(と言うか基本的にあまり前情報は入れないで観るんですけど。その方が楽しいんで)こういう構成なのか、と意外性もありつつ、印象的な映像と音楽で落ち着いた作風だと思いました。

映画はおおまかに3つの構成で成されてます。
1部はライアン・ゴズリング演じる遊園地でバイクスタントしてる男がメイン。
2部はブラッドレイ・クーパー演じる新人刑事。
ラスト3部は二人の息子たちが何の因果か同じ高校で出会い・・・と言う構成。

役名を失念してるので、俳優名で書いちゃいます。



簡単に言うと、父親、そして息子たちの話なのかなぁと。
その日暮らしで無計画で何も考えてなさそうなゴズリングが、自分が父親になったと知った時、息子にしきりに自分が父親であるとアピールしたがる感情。
だけど女には既に腰を落ち着けた家庭があって、ふらふらしてそうなゴズリングを父親として夫として認めてくれない。
それ故にゴズリングは自分が父親であり夫だと言うアピールの為に、金が必要だと思い込み、犯罪行為に走ります。
なんとも短絡的と言うか、そういうゴズリングの思考が女が男を選ばなかった理由なんだろうけど、なんだかゴズリングの役が哀れなんですよね。
男と女、どっちが悪いと言うのはないんだけれど。
タイミングが悪い。
そして悪人ではないけれど思慮の浅さ、教育をされてこなかった故に簡単に犯罪に手を染めてしまうゴズリングの背後を想像すると哀れに思えます。
映画を観てた時は、こういう根無し浮き草みたいな男が自分の子どもに対して異様な執着をするのが意外だったのですが、教会で涙を流すシーンを観た時に、自分の父親がしてくれなかった事を息子にしてあげたいんだろうなぁとぼんやりと思いました。
そう思うと可哀想な男だと胸が傷みます。
やってる事、ストーカーっぽいし、犯罪行為働いてるんですけど。
でもそういうのを凌駕する存在感と美しさがこの映画のゴズリングにはあるんですよね。
「ドライブ」に引き続きまたも「運転」する役ですが、刹那的な生き方と、松林の中をバイクで疾走するゴズリングが重なります。
1部以降は登場しませんが、1部での刹那的なゴズリングの姿はその後の2部と3部にも不在でありながら強い存在感を残し続けます。


2部のブラッドレイ・クーパーは、社会的に成功している父親の存在感に反発し、どこか鬱屈としてます。
1部のゴズリングとは正反対に演じているブラッドレイ・クーパーは色男なのにその気配ゼロな地味さで、言いたい事も言えずに悶々とした姿が印象的です。
父親の姿の見えないゴズリングと、存在はしているけれどその存在に鬱屈としているブラッドレイ・クーパーは対照的です。
ゴズリングは息子を愛そうとしますが、ブラッドレイ・クーパーはゴズリングとの出来事も重なり、素直に息子を愛する事ができない。
それは自分が父親から受けてきた影響が強過ぎたから、と言うのがあると思います。
父親に反発してきたから、自分の息子にどう接していいのかわからない。
それ故に、自分と同い年位のゴズリングが息子に向ける愛に「何か」を感じるんだと思います。
それが罪悪でもあり、おかしな事に心の拠り所にもなっている印象を受けた。

父親に反発していたとは言え、血は争えないのか次第にブラッドレイ・クーパーはあれだけ否定していた父親と同じ道を辿る事になります。
それが本来の姿であったかのように、ブラッドレイ・クーパーは輝き始めます。


3部は二人の息子たちがメインとなります。
ゴズリングの息子であるデイン・デハーンは、義理の父親が黒人であるため、自然と自分の父親が違う人間であるのを知っています。
夕食時に一人だけ白い肌、金髪のデハーンはどんなに家族として受け入れられててもやはり異質だ、と肌で感じていた筈。
義理の父親はデハーンの事を自分の息子の様に見ますが、やはり子どもと言う物は「本当の」肉親を求めてしまうのか、デハーンは自分の父親を求め探す事になります。
その間にもブラッドレイ・クーパーの息子とつるみ、なんだか金持ち(クーパーの息子)/貧乏人(デハーン)みたいな扱いを受けてるのが何か・・・切ないと言うか、一応現代のアメリカにおいて表向き身分や階級制度はないけれど、親の代から受け継がれた職業的・教育的身分からは逃れられない様な気分になります。多分そういうのも映画に含まれてる気がするんだけど。

で、一方のブラッドレイ・クーパー父子はやっぱりまだ上手く行ってない。
権力へと近付き、政界進出を始めたブラッドレイ・クーパーに、2部での不安定な面影はありません。
しかし息子の事はやっぱり正面から見ない。
放置され、しかも金だけは余っている息子は金持ちぼんくら息子らしく放蕩三昧。

印象的だったのは、最期の方のデハーンと松林の中でやりとりをするブラッドレイ・クーパー。
1部で教会で涙を流していたゴズリング。
そして息子には無関心で冷たい印象を与えていたブラッドレイ・クーパーが感情を露に涙を流す3部。
男たちの息子への愛の為に流す涙が美しく印象的です。
ブラッドレイ・クーパーは役柄的にはゴズリングよりもだいぶ地味ではありますが、いい俳優だなぁと実感しました。
そして息子たちは息子たちで、自分の父親への思慕を胸に抱きます。
ここでやっと、父と息子は互いを認め合う事ができた・・・のかなぁと・・・
息子たちの父親へ向ける眼差しがすごくロマンティックで、息子と父親とはこういう物なのだろうかと思ったり。



どこか寓話的でもあり、現代の神話的にも見えます。
深い松林の森が続く映像のせいでしょうか。


印象的なシーンは沢山あります。
オープニングの、夜のサーカスの喧騒とネオン。
それらを背景に、背中を向けているゴズリング。
ブロンドに純度の高い青い目、そして目の下の刺青に、身体中のタトゥー。
バイクエンジンの低い轟と、危険なスタント。
松林の森に入って行く新人刑事のブラッドレイ・クーパー。
そして最期にまた松林の森の中で膝を付き、涙を流すブラッドレイ・クーパー。

それらの映像が印象的で余韻を残します。





| 映画*H | 23:11 | comments(0) | - |
若い貴族たち 13階段のマキ 東映1975
若い貴族たち 13階段のマキ 東映1975
志穂美悦子
千葉真一
南城竜也
大原美佐
名和宏
大宮敏充
室田日出男
柴田鋭子
叶優子
芹明香

脚本:金子武郎/内藤誠
監督:内藤誠
原作:梶原一騎


13階段のマキこと日向真樹は「ナリは野良猫・心は貴族」を信条に野良猫グループを率いてスケバンや暴力団と抗争の日々を送っていた。
ある日マキは気鋭の観光会社社長の娘・タカコとイザコザをおこす。
なんでも金で解決しようとするタカコに怒ったマキは、彼女に制裁を加えるが、プライドを傷付けられたタカコの罠により少年院へ送られてしまう…。
(東映チャンネルから)






あまり邦画は観れてないのですが、この時代のピンキーバイオレンス的な作品は初めてみました。
ジャパンアクションクラブに所属していたアクション女優、志保美悦子さんの特集上映としてラピュタ阿佐ヶ谷のレイトでかかってました。
志保美悦子さん人気なのか、女性アクションスターの人気なのか、それとも作品の人気なのか(ちなみにこの作品は事情によってソフト化されてないです)48人程度の定員でほぼ満席。

衣装にしてもそうですが、映画の作りにものすごく時代を感じます。
冒頭からスケバン同士で(この言葉自体がすでに時代を感じます)無駄にスカートはだけさせられ、線路に大の字で縛り付けられる集団リンチシーンから始ります。
このオープニングシーンでこの映画が一体どういう映画かだいたいわかります。

とにかく志保美悦子さん以外の女優さんたちはほぼ無駄に剥かれ、陰湿な暴力シーン(この時代に流行ってたのか、少女が収監されてる少年院リンチシーンもあります)だったり、シャブ漬け、外国へ売られる等のお色気バイオレンスシーンがあったりと過剰すぎてちょっと笑ってしまいましたが、あまり観ていて気持ちのいい物でもないです。
ジメジメ陰惨で、そういうのに性的な暴力が加わって消費されるとなかなかキツい。
当初は女同士のやって、やり返しての報復の話ですが、それが結構いっちゃってると言うか。
報復に刺青入れるのはやりすぎ。

夜の遊園地で、志保美悦子グループの女の子たちが全裸でメリーゴーランドに縛り付けられて回ってるシーンとかなんか劇画的と言うか(原作劇画だけど)ファンタジックと言うか、時代を感じます。(そしてそれを高笑いしながらジェットコースターから見下ろしてるお嬢様が素敵です)
おそらくこういう暴力と性の表現がこの時代の流行と言うか、過剰な程エスカレートして消費されていって、そういうのがまた薄くなったり、違う表現になっていったのかなぁとぼんやりと思いました。

で、映画の最期の方にいくと志保美悦子さんが暴れん坊将軍の如く、バッタバッタと悪い奴らを成敗していくのですが、その時の悪役のやられ方がどんどんアホな死に様にエスカレートしていってかなり笑えます。
性的なバイオレンスシーンばかりだとうんざりしますが、最期のこの笑いを取りに行ったアクションシーンで相殺された感じです。
このあたりのシーン、劇場でクスクス笑いが起きてましたし。
ただ悪い奴らは全滅したけど最期は爽快感は無いですし、やはり陰な感じで映画は終わります。
こういうのもこの時代ならでは、なのですかね。


役者は主役の志保美悦子さんとゲスト出演っぽい千葉真一(志保美悦子の兄役)以外はほぼ無名な方ばかりです。
あ、室田日出男がいや〜な刑務官の役なんですが、最期マヌケに殺される姿には劇場内からも笑いがありました。
顔は地味と言うか割とどこにでもいそうな顔で、自分が観てる映画に必ず出て来るのになかなか覚えられずに気付かないんですが(どこにでもいそうな顔だから、そういう人がエグイ事したりすると活きて来ると思うんだけど)アクを感じさせインパクトあります。

志保美悦子と対立するお嬢様がいるんですが、これがなかなか面白いなぁと思います。
お嬢様だから我が儘放題で傲慢で鼻持ちならないんですが、刺青入れられてもめげなかったり、復讐の為に最期まで骨のある所を見せてくれ最期まで志保美悦子とは対立しつつも共闘するなかなか味のある役です。
演じてる女優さんも、美人なんだけどなんだか蛇みたいなヌメッとした気色悪さがあって、正直主役の志保美悦子を喰ってました。
と言うかほぼ脱がされる女優陣の中で、全く脱がない志保美悦子が健全なんだけど、やってる事はエグイからなんだか不思議と言うか浮いてる感じもする。


このお嬢様役を演じた大原美佐を調べてみたんですが、同年の「怪猫トルコ風呂」(スゴいタイトル・・・この時代の邦画はイロモノが多いんでしょうか)と言う怪奇ポルノ映画以外の出演作はありませんでした。
あと、少年院のリーダー役だった柴田鋭子も鋭い目つきが印象的だったけど、やっぱりほぼ出演作が無いですね。
なんだか時代を考えると切ない・・・




少年院にいる女子たちがみなさんほぼ20代半ばから30代にしか見えない・・・(笑)

そして最初と最期に志保美悦子の唄があるんですが・・・どうして歌っちゃったんだろう。

スケバングループ野良猫が聴いてる音楽が沢田研二「追憶」

| 映画*W | 20:25 | comments(0) | - |
保鏢/have sword will travel 香港1969
保鏢/have sword will travel 香港1969
姜大衛(デビッド・チャン)
狄龍(ティ・ロン)
李菁(リー・チン)
王鍾(ワン・チュン)
谷峰(クー・フェン)
陳星(チェン・シン)
井淼
鄭雷(チュン・ルイ)
王光裕
鄭康業
王清河
洪流
劉剛
袁祥仁(ユエン・ウーピン)
馮克安(フォン・ハックフォン)
白彪(ジェーソン・パイ・ピョウ)

動作設計:袁祥仁(ユエン・ウーピン)/唐佳(タン・チア)
脚本:倪匡(ニー・クァン)
監督:張徹(チャン・チェ)





英語字幕鑑賞。
感触的には張徹監督、前契仔ジミーさんの「大刺客」「大女侠」っぽく感じました。
中期、後期張徹作品よりも女性の影響力が強い、つまりマッチョな作風だけど、後期作品だと女性すら出て来なくなるので(笑)あそこまでマッチョではない、精神的な男気を追求してる感じでしょうか。
カンフー物では全くなく、武侠映画です。



婚約していると思われる李菁と狄龍カップルが、金の輸送をしている所に謎のさすらい青年(って表現も何ですが、旅人ともまた違うし、私の英語読解力では何故あれだけ腕の立つ彼がさすらっているのかわからない)姜大衛と出会います。
一方で山賊である谷峰一派は周囲を荒らし、李菁と狄龍が運ぶ金も狙ってきます。
金も地位もなく不器用で無口。
でも心は真っ直ぐで腕の立つ姜大衛に李菁は目をかけます。
それは姉の様な心境なのか(なにせ姜大衛の見た目は華奢で少年みたいだから)それとも恋情なのか、その両方を含んだ風に見えます。
自分の事をちゃんと見てくる彼女に(恐らく生まれて初めて)孤独だった姜大衛は心惹かれていきますが、李菁は狄龍と言う恋人がいるのでそれはあくまでプラトニック。
見つめ合うだけの関係ですが、李菁の恋人である狄龍は面白くありません。


結局、姜大衛は好いた女の為にその女が自分の物にならないのは分かっていても血塗れになり(張徹十八番)女の恋人を立て、まるで昔の任侠映画の様な痩せ我慢的な事になります。
張徹監督にしては男同士の絆やそう言った物はあまり感じなかったです。
一人の女を巡り対立する狄龍と姜大衛が、危機を前にしてその対立を乗り越えて絆を深めると言うのもありません。
ただ、自分は何の得もしないのに、血塗れになり狄龍を庇う(狄龍を心配したからでなく、狄龍がいなくなって悲しむ彼女の為に)姜大衛を目の前にして、狄龍はやっと彼を認めると言う描写はありますが。
なので、最期ズタボロ状態になっていく姜大衛は何故そこまで痩せ我慢する?となるのですが、それが張徹監督の考える理想の「男気」なんだろうなぁと思います。

実際、ストイックではあります。
それも演じてるのが少年みたいな見た目の姜大衛なので大人の男の男らしさと言うよりも、少年の一本気的にも見えて、大人の男のそれと、少年のそれとだとまた少しニュアンスが違うなぁと感じました。

なので、ストィックでどこかミステリアスな姜大衛に嫉妬する狄龍は、いくら長身でキラキラ美形であってもかなり分が悪い印象を受けます
(でも前期の姜大衛&狄龍の作品は、だいたい狄龍が姜大衛の2番手って感じの描写で、姜大衛のイイ所取りなんだけど)

姜大衛は全身黒尽くめの衣装でミステリアスな雰囲気を出してます。
一方の狄龍は対照的に、白い衣装でいい所のお坊ちゃん風な美形っぷりが際立ちます
(役柄は分が悪いけど)
全体的に地味な作品にも感じますが、なんとも印象に残ります。
姜大衛の痩せ我慢ストイック野郎・・・と言うよりも少年の哀しさが。


オープニングの鈴の音と幻想的にも見える映像は美しく印象的です。
王鍾は聾唖の暗殺者役。
サーカス出身らしい?んですが、トランポリンアクションしてます。
白彪はどこに出てたかわかりませんが、香港影庫でジェーソン・パイ・ピョウってなっててちょっと笑いました。
ジェーソン。。。(笑)


張徹監督なので、元健美先生(ボディビルダー)出身の鄭雷(チュン・ルイ)さんを筆頭に、皆さん胸元はだけまくりです。




| 映画*H | 23:31 | comments(0) | - |