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Ninth

日々観た映画についての記録と備忘録
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命ある限り/JAB TAK HAI JAAN 2012インド
命ある限り/JAB TAK HAI JAAN 2012インド
シャー・ルク・カーン
カトリーナ・カイフ
アヌシュカ・シャルマ

音楽: A・R・ラフマーン
撮影:アニル・メーヘター
監督:ヤシュ・チョープラー


ロンドンの荘厳な教会で運命的に出逢ったストリートミュージシャンのサマルと裕福な実業家の娘ミラ。
しかしミラには父親が決めた婚約者がいた。それでも想いを確かめ合う2人だが、ある日、サマルが交通事故で意識不明に。
ミラは愛するサマルの命を救うため、神さまに永遠にサマルとは会わないという誓いを立ててしまう……。
(ポリウッド4公式サイトより)





「オーム・シャンテイ・オーム」でのポリウッド体験が楽しかった&インドのスーパースター、シャー・ルク・カーン(通称シャー様:私呼び)目当てで観ました。

大河ラブメロマンスですね。
神への信仰、それ故に結ばれない男女、記憶喪失に交通事故の連続とか色々ツッコミ所はありますが、そんな事、些細な事じゃない!と思わせるパ作り手の映画製作へのパワーと愛が溢れております。
これがポリウッド映画の魅力・・・なんでしょうか。


とにかくしょっぱなから、緩やかに厳かにフルスロットル。
無愛想な軍人シャー様が渋く登場し、命なんていらないぜ、とばかりに装備無しでクールに爆弾処理。
アーミーファッションに髭、サングラスがカッコいい!(笑)
しかしキュートなシャー様が好きだから、このままブアイソウで無表情だったらどうしよう、と心配。
しかしそこは後々、いつもの(シャー様映画をまだ2本しか観てないからよく分からないけど)陽気でキュートなシャー様が登場するのでファン的には1粒で2度美味しいのではないでしょうか。


そして映画は、シャー様が延々と荒野をバイクで飛ばしてる映像で5分費やします。
色んな角度でマルボロ広告の様なカッコイイ、シャー様PVっぽい映像。
シャー様も映像もカッコいいけど・・・長い(笑)
基本的にもうこの映画自体が歌以外のシーンでもPVの様に映像が凝ってるんですけど。
でもその凝り方がサービス精神から来てるから厭にならない、けどそれはシャー様贔屓で観てるからかも(笑)

そんなこんなでカッコいい軍人シャー様がカッコよく休憩していると、唐突に湖の岩から、水着のセクシー美女が飛び込みます。
・・・えーと、まず、湖の中に浮かんだ小岩に登る時点で、この美女は泳がないと岩へ辿り着けない。
なのに何故溺れるのかがよくわからない(笑)
アヌシュカ・シャルマ嬢の健康的セクシーさも相まって、この映像がまた何かのCMみたいな綺麗な映像なんですけどね。

そしてそして話は無愛想軍人シャー様の過去に遡り、ロンドン時代の哀しい悲恋パートへと・・・
舞台はイギリス(ロンドン)に差し変わりますが、まぁこのイギリス映像もPVの様に力入ってます。
疑問も挟み込む余地もなく、次から次へと舞台が脈絡なく変わり、ツッコミ所はいっぱいあります。

背後で電車が走ってるのに、ファッショナブルに裸で愛を囁きます。


世界はふたりだけの世界。この後の展開がちょっと笑えますが、そこも愛嬌。



でも憎めないんですよ、観客を喜ばせようとするエンターティメント魂と映画への愛が溢れてるから。

監督はこの作品が遺作となった81歳の方ですが、感覚は若いなーと感じました。
映画へのパッションも!
職人的な技巧と瑞々しい感性を感じました。


カトリーナ・カイフ嬢、ダンスが非常に上手い。


ヒロイン二人の姿も対照的で面白いです。
互いに愛し合いながらもシャー様と離ればなれになるカトリーナ・カイフ嬢。
インド人ながらもイギリス育ちで、お金持ちのお嬢様。
婚約者とのお披露目パーティーで、一人やさぐれて路地裏で煙草を吸ってる部分と、自分を男手一つで育ててくれた父親へ逆らえない古風さがあります。
古風と言っても、父親の会社で仕事をするキャリアウーマンではあるので、現代的な女性ではあります。
常に立派な父親に相応しい娘として頑張ってきた彼女は、シャー様によって押さえ付けていた自分を解放し始めます。
しかし、教会へ通い神様へ「取引」をする事で自我を保ってきた部分が彼女の一番の弱い所・・・な気がします。
日本人の私には、海外の人の信仰心と言うものがよく理解できませんが・・・
ましてやインド人となるとどうなんでしょう。
イギリス育ちなので、ヒンドゥ教ではなくキリスト教ですし。(キリスト教だったと思うけれど、間違えてたらスイマセン)
この辺の感覚はちょっとよくわからないんですが・・・
ただ度の過ぎた信仰心は彼女の自我の弱さかな、と思いました。
※宗教のお祈りは何かと交換に祈りを捧げるのかその辺もよく分からなかった。
なので、そんな彼女が最期に取った選択がメロドラマとして効いてきます。


もう1人のヒロインが、超現代っ子なアヌシュカ・シャルマ嬢。
自分が一番!底抜けに陽気で冷たくされてもまったくめげない、愛が冷めたら男の子なんてポイ!と言う威勢のいい女の子。
しっとり美女のカトリーナ・カイフ嬢と違い、ファッションも言動もカジュアルで健康的なセクシーさを振りまいてくれます。
役名は「アキラ」。
監督が敬愛する黒澤明から取ったらしく、日本人的には嬉しいですね。

基本的には二人とも現代的な女性だと思います。
でも現代的なお話でありながら、信仰心とか古風な因習が絡むバランスが良かったなと思います。


なんだかんだツッコミ入れても泣かされます。
一人の人を、例え叶わなくても愛し続けると言うのがこの映画のテーマなような気がします。
まさに大河メロドラマ。
こういう感覚は西洋的と言うよりも東洋的で、アジア映画ならではの味だと思います。

「オームシャンテイ〜」の音楽と踊りのシーンはキャンプ感覚溢れていて、インド映画ってこういう感覚なのかなと勝手に思ってましたが、
やはり監督が違うと音楽と踊りのシーンもだいぶ雰囲気が異なります。
「命ある限り」の音楽担当は「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー作曲賞を受賞したA・R・ラフマーンで、キャンプ感覚は無いです。
しかしどの曲も聞きやすく、大河ラブロマンスに相応しい壮大な曲から耳に残るキャッチーなメロディと音楽は良かったです。


| 映画*A | 20:11 | comments(0) | - |
嫉妬/Bye Bye Blondie 2012フランス
嫉妬/Bye Bye Blondie 2012フランス
ベアトリス・ダル
エマニュエル・ベアール
ソコ
クララ・ポンソ
パスカル・グレゴリー
ストーミー・バグジー 

監督:ヴィルジニー・デパント


TVキャスターとして成功したフランセスと、自堕落な生活を送るグロリア。
20年前、家族に反抗していた思春期に出会い、人生で初めて深く愛しあう存在となった。
大人の女性として久しぶりに再会した二人は、少女時代を懐かしむかのように互いを求め、今度こそ真の愛を育もうと同棲生活をはじめる……。(パラマウントジャパンより)



フランス映画と言えば破滅的な愛・・・しかもこの映画は女性二人の再会愛。
しかもしかも激情の女役がハマりすぎるベアトリス・ダル主演だし、ならばやはり破滅的な愛に違いない・・・
そんなイメージを抱きがちですが、この映画は壊れそうな二人の関係(既に1回少女時代に壊れてるし)にハラハラしつつも、結末はなんとも前向きで爽やかで観てよかったなーと思える作品でした。

周囲の目を気にする事のない、でも繊細な元パンク少女のダルと、社会的に成功しつつもゲイの夫と偽装結婚して己のセクシャリティを隠すべアール。
「生き方」についての話なんだなーと思いました。
と言ってもそんなに堅苦しい話ではなく、全体的にゆるゆるテンポ。
脇役も何故か存在感アリアリな黒人ドライバーとか、お掃除をするメイドなのにやたらエロティックなファッションをしてる黒人女性とか、周囲がなんともすっとぼけた雰囲気があって和みます。

大人時代(ベアトリス・ダル&エマニュエル・ベアール)と少女時代(ソコ&クララ・ポンソ)で、場面場面が切り替わります。
この少女時代がとってもこそばゆく甘酸っぱい!!!!
こんなに甘酸っぱいティーンの恋愛物を観たのは久しぶりかもしれない。
でもそこが愛おしいと思わせる。
少女時代を演じた二人のキュートさも良かったです。


ベアトリス・ダルはかなり巨大化しててビックリしました。
あと前歯がすきっ歯・・・最初、歯がないのかと思う程、隙間が空いてる。
普通なら直しそうですけど、直さない所が個性派の彼女らしい。


少女時代ではより一層際立ちますけど、メイクもゴリゴリパンクでケバケバしく攻撃的なのに、実は受け身なグロリアと、ブロンド美少女風のフランセスがクールで、グイグイ行く立ち位置がなんか面白かったです。
あと基本的に二人ともパンツファッションが多いなーと気になりました。


邦題の「嫉妬」は余りにも内容にそぐわない。
原題の「Bye Bye Blondie」は結末を観れば納得かつ爽快なんでこの原題、素敵です。



| 映画*S | 23:22 | comments(0) | - |
シンデレラの罠【新訳版】/セバスチャン・ジャプリゾ

◆内容
 わたし、ミ(ミシェル)は、火事で大火傷を負い、顔を焼かれ皮膚移植をし一命をとりとめたが、一緒にいたド(ドムニカ)は焼死。
火事の真相を知るのはわたしだけだというのに、記憶を失ってしまっている。
わたしは本当に皆の言うように、大金持ちの伯母から遺産を相続するというミなのだろうか? 
死んだ娘がミで、わたしはドなのではないか? わたしは、探偵で犯人で被害者で証人なのだ。(東京創元社から)



フランスらしいツイストと皮肉たっぷりなミステリ。
先日みた「刑事ベラミー」とかああ言う系だと思う。
「蜘蛛の微笑」(映画は「私が、生きる肌」)をちょっと思い出しました。
なんて言うか、整形とか人体改造ってフェチっぽい意味で好きです。
なんか好きだなーと思えば、原作者は私の好きな映画「殺意の夏」の脚本と原作も担当していて納得。
男性ですけど、女性の心理描写が上手いと言うか、文章からフェミニンな雰囲気が濃厚です。


トリックとか推理はあまり関係なく、記憶喪失の「わたし」が一体誰なのか判別としない、時系列も飛び飛びな文体と雰囲気を楽しむ小説だと思います。

かつて遊んでいた3人の少女、「ミ」「ド」「ラ」。
お金持ちのミドラおばさまから愛された美しいブルネットの少女「ミ」
雑誌のピンナップを飾り、自由奔放で20歳そこそこで世界の全てを手に入れているかの様な「ミ」と、「ミ」に羨望の眼差しを向ける銀行に勤める地味な娘「ド」。
そんな「ミ」が恐れる、かつてミドラおばさまの近くにいたと言う、ブロンドの女、ジャンヌ。

この設定だけでドキドキします。
ネタバレになるからアレですけど、「ラ」の部分に関しては活かし切れてない部分があって勿体ないんですが、読み手の妄想をかき立てられます。

そう言えば、ビックリする程に主な登場人物が女性しか出てきません。
なので女性特有(と言うか、20歳の娘が主役なので少女と言った方がいい)の感情の揺らめきがポイントとなります。あと、かつて少女だった女たち。
同性愛的な感情と愛憎のもつれが発端みたいな話なので。

なので万人にはお薦めしかねます。
ツボやポイントが合えば、多分好きだと思います。
少女趣味と言われようと、私は好きです。
最期の2pの皮肉っぷりに身を捩りたくなる。








結末に少し、触れてます。

『シンデレラの罠』が一体何なのか。
それが読者に提示された所で、「わたし」の今までのあらゆる羨望と懊悩が昇華され、諦観の念に身を捩らされます・・・



| 本・書籍 | 23:16 | comments(0) | - |
恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム/OM SHANTI OM 2007インド
恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム/OM SHANTI OM 2007インド
シャー・ルク・カーン
ディーピカー・パードゥコーン
アルジュン・ラームパール
シュレーヤス・タラプデー
キラン・ケール
ジャーヴェード・シェイク


音楽:ディジャル・ダドリニー/シェカール・ラビナニ
衣裳デザイン:カラン・ジョーハル /マニーシュ・マルホトラ
製作:ガウリ・カーン/ シャー・ルク・カーン
脚本:ムスタク・シェイク
監督:ファラー・カーン



初、ボリウッド映画!
美男美女のダンスに、笑って泣いた170分!!!
もの凄く楽しかったです。
サントラも即、ダウンロードしてヘビロテです。
これはボリウッド映画にハマる人の気持ちがよく分かる。
見終わった後、みんな笑顔になりそうな楽しい映画。

色鮮やかな色彩感覚に、キラキラゴージャスな美術に衣装。
そして絶対!ヒーローやヒロインの前髪が風でたなびくのがセクスィ〜ポイント!(笑)
ボリウッド映画は突然、歌ったり踊ると言う評判は聞いてましたが(笑)違和感ない所かそこがチャーミングで面白かったです。
長いけど。
たぶん、私がこういうキャンプ(?)な感覚が好きだからなんですが。


ヒロイン様である、ディーピカー嬢が本当に美しい!
そして主役のシャー・ルク・カーン様!!!!
もう、私、すっかりシャールク様の虜です(笑)
写真観た時は「う〜ん?インドのスーパースター???カッコいいか?」と首捻りましたが、
大女優に心を寄せる青年役での、クルクル動く表情に蕩ける様なキュートさにときめき、2代目スーパースター役でのシックスパックに割れた金粉まみれの美ボディーに目が釘付けです(笑)

スターってこう言う人の事を言うのね!本当は女優ならいざ知らず、男優がこういう美ボディを晒すのはインド映画ではセオリーではない様ですが、こんな素敵なサービスシーンを入れてきた監督とこのシーンの為に身体を鍛えてくれた撮影時42歳の(でも演じてる役は30歳)シャー・ルク様に感謝です。


シャールク様の他にも、女優の夫役(悪役)がなかなかのイケメンだったり、
シャー・ルク様の親友役が友人思いで可愛かったりと、そういう部分も楽しい。



ボリウッド映画は初めて観たのですが、どうやらインドでの映画業界は身内に業界人がいないとなかなか芸能界に入れないみたいですね。
親類や親、祖父や祖母が俳優や業界人と言うのが常識なんだな、と言うのが映画を観てて理解します。
転生前の主人公は売れない脇役俳優と女優の間の息子である為に、本人も売れない俳優。
そして転生後は、スーパースターの子どもなので、その息子もスーパースター。

そして残酷に夫に殺される女優。
インドは持参金目当てに花嫁殺しが多いとか、女性が理不尽に扱われる度合いが高いと言うイメージがあるので楽しい映画ではあるのですが、そういう部分を
思い出しました。
この映画は2007年の映画ではあるけど、娯楽作の中に現実を投影している気がしました。



「心から望めば世界中が味方してくれる」
映画の中で何度も出てくる台詞。
単純明快ですけど、これほどこの台詞がピッタリハマる映画もない。




| 映画*K | 22:26 | comments(0) | - |
ザ・レイド/The Raid 2011インドネシア
ザ・レイド/The Raid 2011インドネシア
イコ・ウワイス
ヤヤン・ルヒアン
ジョー・タスリム
ドニー・アラムシャー 
レイ・サヘタピー
ピエール・グルノ
テガール・サトリヤ

監督:ギャレス・エヴァンス


ジャカルタの麻薬王が支配する30階建ての高層ビル。
ギャングに殺し屋、ドラッグの売人たちのアジトとなっているそのビルに、
20人の精鋭からなるSWATチームが強制捜査に入る。
しかし作戦の情報が漏えいしており、激しい銃撃戦が勃発。
そんな中隊員たちは、己の肉体やさまざまな武器を駆使しながら、
次から次へと襲撃してくるギャングたちと死闘を繰り広げ、
麻薬王を捕獲すべく進んでいく。(シネマトゥデイより)


昨年劇場公開されて、アクション映画好きの方々の間では大変話題になった映画。
私は香港映画を観る関係で、カンフーとかアクション映画は割と観ますが、
アクションや格闘技に関しては全く知識はありません。
専門用語もよくわかりません。
なのでアクションに関する感想は期待しないで下さい(してる方はいないと思いますが)



お話は単純。
悪玉親分のいる悪人ばっかいる高層ビルにSWATがかちこみかけます。
ゲームみたいな設定だけど、私はこういうわかりやすい設定好きです(笑)
映画前半は、住人である悪人共が窮地に陥ったSWAT隊員たちに襲いかかり、
まるでゾンビ映画みたいで面白かったです。

あと結構残虐描写があります。
私は割と平気だったんですが、あまりこの手のバイオレンス映画が慣れてないとキツいかも
しれません。
湿気が多い国の血は生々しい。
でもメイン3人(主人公、主人公の兄、主人公の上司)が割とイケメン揃いだったんで、女性には優しい・・・のかな(笑)
あとバイオレンス描写が激しい割には爽やか描写もあるので緩和されてる…かな。


ここで繰り広げられるアクションが脚下(膝から下)を狙った攻撃で、
そこを狙われたらキツいよねーと思わせる結構残酷なアクション。
映画全体のアクションは “シラット”と呼ばれる東南アジアの伝統武術らしいです。
多分、この脚を狙ったアクションはその “シラット”と呼ばれるものかと予想。

香港映画といい、何故悪役のボスは白ランニング姿で何か食べてるんでしょうか・・・




意外な事にラスボスがマッドドックと呼ばれる小さいオッサンで、この人と闘う時、
2対1なのが、ジャッキー映画とか香港映画っぽいですね。
日本人だと1対1じゃないと卑怯と思っちゃいますが、向こうの感覚だと敵が1人で
自分たちが複数と言うのは、それ程に敵は強いと表現したいと聞いた時は面白いなーと
思いました。

ネット情報だと、主人公を演じた人も、主人公の上司も主人公の兄役もほぼ皆さん、
格闘家揃いらしい(しかもイケメンなんだからインドネシア格闘業界、凄いな)


続編「ザ・レイド2 ベランダル(仮題)」は現在製作中だそうです。



主人公のお兄さん役の方。
頭脳派と呼ばれてる割にはそれらしき頭脳プレイはしてない。
チェン・カンタイに似てて可愛いんで、続編に頭脳派として登場して欲しいんですが(笑)



| 映画*R | 23:14 | comments(0) | - |
ホーリー・モーターズ/Holy Motors フランス・ドイツ2012
ホーリー・モーターズ/Holy Motors フランス・ドイツ2012
ドニ・ラヴァン
エディット・スコブ
エヴァ・メンデス
カイリー・ミノーグ
ミシェル・ピコリ
レオス・カラックス

監督・脚本:レオス・カラックス


こちらも話の内容や前評判は全く知らずに観に行きました。
「汚れた血」「ポーラX」はかなり昔に観ましたが、印象的な映画。
特に10代の時に観た「汚れた血」は結構、影響を受けたと思います。
内容はあまり覚えてないんですが・・・
しかし新作から13年振りだったとは。



で、本作。
正直話の意味はよくわかりませんが(笑)面白かったです。
ジャンル的にはSFになるのかな、と思います。


オープニングは本作の監督、レオス・カラックスがドアをあけるとモノクロの古い活動劇画みたいなのが流れてていて、観衆たちの後ろから見ている。
そんな映像からスタート。
そして主人公オスカー演じるドニ・ラヴァンが白いリムジンに乗り込み、パリを走り回ります。
「アポ」と呼ばれる仕事によってウィッグを被り、変装し、11役を劇中で演じてます。
銀行員から物乞い、怪人、瀕死の老人、娘を持つ父親、殺したり、殺されたり、殺された人間になったり・・・あらゆるパーソナルを演じ、一体この男は何者なのか不明。
演じている男オスカー(ドニ・ラヴァン)もその境界が曖昧になってきているのか、ややお疲れ気味。
そこへミシェル・ピコリ演じる上司(一体何の?)が「君が最近疲れてるみたで、上役が不満だ」と言っております。
なんだかよくわからないけど、この映画も身体性の映画だなぁ・・・

本作ではドニ・ラヴァンの特異な身体性が大いに発揮されております。
そしてこの男、オスカー(ドニ・ラヴァン)の本当の姿は何なのかわからないまま終わります。

主役のドニ・ラヴァンの素晴らしい身体の動き、脱いだら凄いんです状態(結構年齢いってますよね…「汚れた血」の時は若かったけれど)、
身体だけじゃなく、オスカーが演技をしてる時の演技(ややこしい)やら、『元恋人』であるジーン(カイリー・ミノーグ)との切ない演技も良かった。


演じる事、観られる事。
そして私は誰?
まるで誰かの人生を覗いてるかのような錯覚。
そんな雰囲気が全編に漂ってます。

話の詳細はわからないけど、ビジュアルは素敵だし、リズムもあるのでただただその不可解な世界に引き込まれ、
まるで覗き見をするかのように心地いい流れに乗って観るだけです。
アコーデオンの大合奏シーンは映像と音楽が一体となってうねり、気持ちいい。



オスカーの昔の恋人を演じるカイリー・ミノーグ、往年のハリウッドメロドラマの女優みたいだった。
役名も『ジーン』・・・なんか郷愁をそそられるクラシカルな名前。
歌うシーンもあるので、ますますそれっぽい雰囲気。
(ただ、私はあまりこの歌はピンとこなかったんだけど)

相変わらずセーヌ川の夜景は綺麗だし、白いリムジンがグリーンのネオンカラーの建物に入って行く姿も謎めいてかつ稚気な雰囲気があって面白い。

謎めいたモデル役のエヴァ・メンデスきれいだった!
完璧な美貌とプロポーション!
そして作り物めいたプラクティカルな雰囲気が映画にあってて素敵。



運転手役のエディット・スコブは「顔のない眼」の主役らしく、この映画も観たい!





| 映画*H | 20:03 | comments(0) | - |
君と歩く世界/De rouille et d'os フランス・ベルギー2012
君と歩く世界/De rouille et d'os フランス・ベルギー2012
マリオン・コティヤール
マティアス・スーナールツ
アルマン・ベルデュール
セリーヌ・サレット
コリンヌ・マシエロ
ブーリ・ランネール
ジャン=ミシェル・コレイア

監督:ジャック・オーディアール



「天使が隣で眠る夜」から好きなオディアール監督作品。
前作「預言者」はすごく評判いいしカンヌでも賞を受賞しているけど、実は私はそんなに好きと言う訳ではないんで、今回はどうかなと思ったんですが・・・
どういう話かも全く前評判も内容も知らないで観ましたが、とてもオディアール監督らしい、身体性と関係性についての内容だと思いました。
2013年ベストに入りそうです。


邦タイトルは優しげですが、映画自体は動物的でハードボイルド。
メインとなる登場人物の男女二人は身体で自己表現をする人たちのなので、理性とか思いやり?よりも先に本能が先立っております。
だから自分勝手だけど、それは他人に無関心で自己愛が強いと言う訳ではなく、どっちかと言えば、動物的な勝手さなので、それが何故か見ていて心地よくもあります。
ただ動物じゃなく、人間なのでそれだけじゃダメで、相手の気持ちを思い遣る共感性も必要なんですが。


この映画の何が素晴らしいかと言えば、身体性とリズムを見事に映像と音楽で表現している部分だと思います。
原題の「De rouille et d'os」とは“錆と骨”と言う意味らしく、それだけで想像できる通り、ハードな内容ではあります。
アリは警備の仕事をしながら、闇の賭けファイター(?)でお金を得る事をし始めます。
躍動し、殴打しされる肉体、流れる血、欠けた歯…
映像から「痛み」を感じる身体描写がリズムとなり、観ていて伝わってきます。
一方のシャチの調教師であるステファニーの、泳ぐ事、見られる事、踊り身体を動かす事への渇望も映像として落し込まれていおります。
そんな二人だからこそ、自然の成り行きでこうなったんだなと思えます。


監督は時代によって映画の中での男女関係の描かれ方が異なるので、今の時代の男女関係を描きたいとインタビューで応えてました。
この二人の関係は、カップルと言うよりもバディと言う言葉が合ってる様な関係性に見えました。
互いに支え合い、パートナーの様な・・・あまり男女と言う性別は関係ない、人対人と言うすっきりした関係性。それは今の社会で、男女の関係がそうなっていく(ならざるを得ない)流れじゃないかな、と思いました。



映画の内容に直接に関係ない部分でひっかかった部分としては、アリが非合法で隠しカメラをスーパーに設置して従業員を盗撮する仕事。

裏の仕事をするアリ。
闇の賭けファイター(?)をしたりと、どんどん裏街道に入り込んで行くのは、「真夜中のピアニスト」で裏の世界から表の世界へ脱出を願う主人公を思い出しました。
ただアリの場合は、ああいう人だから自分が悪い事をしてるとも思ってないから、自覚なくズルズルと裏の世界へ入っていってしまう。
でも、盗撮カメラの発覚と同時に姉夫婦へ突き放された事、ステファニーとの関係性のつまずきで、自然と表の世界へと戻れたのが何か自然な事に見えていいなと思えた。
獣から人間への回帰みたいで。


| 映画*K | 20:54 | comments(0) | - |
ルージュ/胭脂扣 rouge 1987 香港
ルージュ/胭脂扣 rouge 1987 香港
梅艷芳(アニタ・ムイ) 
張國榮(レスリー・チャン)
萬梓良(アレックス・マン)
朱寶意(エミリー・チュウ)
惠英紅(ベティ・ウェイ/クララ・ウェイ)
劉家榮(ラウ・カーウィン)
江禹(ワン・ユー)

原作:李碧華(リー・ピクワー)
脚本: ヤウ・ダイアンピン/李碧華(リー・ピクワー)
製作:成龍(ジャッキー・チェン)
監督:関錦鵬(スタンリー・クワン)




シネマート六本木で現在やっている「レスリー・チャンメモリアル」で観てきました。
関錦鵬(スタンリー・クワン)作品、見てみたいんだけどあまり見れてないので、この機会に行ってきました。


1930年代の香港、遊郭に名物妓女のユーファ(梅艷芳)と、彼女と一目会った瞬間に恋に落ちた裕福な問屋の次男坊、十二少(張國榮)。
二人は結婚まで考えるが、十二少の両親に反対され心中を図る。
そして舞台は1983年の香港。
新聞社に勤める男の元に、ユーファが探し人の広告を載せたいとあらわれる・・・





オープニングの1930年代の香港が美しくて見蕩れます。
香港と言っても、遊郭舞台なので風景と言うよりも建築物やインテリア、美術などです。
「花様年華」とかこのあたりの雰囲気に近いイメージ。(年代は近いのかな。)

妓女たちの色鮮やかなチャイナドレス。
遊郭のかわいらしい花柄の壁紙。
白く妖しい煙を吐き出す阿片パイプ。
胸から下げる、ペンダント状の口紅入れ。
遊郭の回廊に、ベランダ・・・
とにかく小道具やインテリアが素敵でひたすら目で追ってしまいます。



80年代パートのカップルのお二人。83年ってこんなファッションでしたっけ?
となります・・・



そして80年代の香港になると外での撮影が多いのですが、香港って坂や階段が多いのですかね。
(「インファナル・アフェア」「スリ」も階段や坂が多かった。)
色鮮やかな電飾、夜の屋台、占い師、2階立てトラム・・・
香港に行きたくなります。


そういう訳で、この映画は2つの時代が交互に映し出されます。
何故か1980年代になると、妙なコメディータッチで著しく1930年代とはトーンが変わって最初はかなり戸惑います。
しかも30年代のアニタ&レスリー心中カップルと対比させようと、80年代舞台には現代的な恋愛関係の二人(アレックス・マン&エミリー・チュウ)を出して、結構無理矢理感ある台詞とか行動させてて困惑(笑)
心中する程、愛し合うなんて素晴らしい!みたいな台詞を言わせたりちょっと違うんじゃないかなーと思う。
現代カップルがアニタ&レスリーの関係に影響される必要もないと思うんだけど・・・
時代もシチュエーションも違い過ぎるし、ちょっと無理矢理感がありました。

ただ、アニタ&レスリーパートは「重い」んで、軽やかさは演出してたと思います。
80年代舞台でのアニタは、元妓女で現幽霊だからか、わざとらしい程のシナを作ってるのが心なしか軽やかなユーモアを感じさせます。




そんな訳で、うーんと思う部分もありつつ、最期のパートでは不覚にも涙が出てしまいました・・・
そういうオチの付け方をするのかと思いつつも、結局ユーファと十二少は夢の中でしか生きて行く事ができない人たちだったんだな、と。
十代から外の世界を知らずに遊郭にいたユーファと、裕福な家庭で育ち、親のお金で贅沢して日がな一日ユーファと阿片を吸って寝転がっている十二少は余りにも生きる力が乏しすぎる。そんな二人は、現実の壁に哀しくも負けてしまうのが目に見えてます。



特にラストの映画撮影現場シーンでの、まるで「チャイニーズゴーストストーリー」もしくはキン・フーの「山中傳奇」を彷彿とさせる古装片(日本で例えるなら中国版時代劇)の女幽霊(ベティ・ウェイが演じてる!)がふわっ、とワイヤーアクションで何度も空中を舞うシーン。
映画監督(これまたラウ・カーウィンが演じてる!!)のダメ出しに「幽霊の心境なんてわかんないわよ。」とごちるベティ・ウェイ。
なんとも皮肉なんだけどユーモアもあって、それでいて物悲しいのは十二少の成れの果ての姿がそこに集約されてるからなんですが。

ホンモノの幽霊役、アニタ・ムイの背景で何度も何度も映画撮影での女幽霊役が舞うシーンが暗喩的。

映画とか京劇の世界は、現実世界とは切り離された夢の世界。
永遠に夢を追い、夢の中で生きている十二少。
そして死んでも尚、夢の様に美しい十二少を、美しかった二人だけの時間を追うユーファ。
そういう二人の姿がこの最期のシーンで描かれていて、もう終わりよければ全て良しで80年代パートのちょっとズレたコメディシーンも許せます(笑)
往年の役者たち(ワン・ユー、ベティ・ウェイ、ラウ・カーウィン等)がチョイ役とは出てるのも、30年代が舞台の内容だけにノスタルジーを感じさせます。


この映画は完全にアニタ・ムイの映画だと思いますが、でも十二少役はレスリーじゃないと成立しないです。
夢の様な美しくて脆弱な時間を過ごした二人、と言う意味で。
赤い口紅を塗って、チャイナドレスを着るアニタ・ムイも美しいですが、レスリーもとても色っぽく撮られてます。
アニタの背中に縋って泣く十二少が優男すぎて・・・
レスリーの京劇シーンも見れて、「さらば、わが愛 覇王別姫」も連想させたり、十二少の歌が下手なのにそういう世界に憧れ、生活力が乏しい片鱗が見えてまた物悲しい気分にさせます。



| 映画*R | 22:26 | comments(0) | - |
刑事ベラミー/Bellamy フランス2009
 刑事ベラミー/Bellamy フランス2009
ジェラール・ドパルデュー
クロヴィス・コルニアック
ジャック・ガンブラン
マリー・ブネル
ヴァイナ・ジョカンテ
マリー・マサロン

監督:クロード・シャブロル

南仏の港町セートで休暇を過ごすベラミー警視のもとにノエル・ジェンティと名乗る男が電話をかけてくる。呼び出しに応じて訪ねてみると、ノエルはある男を殺してしまったと告白し、1枚の写真を見せる。それはノエルに瓜二つの男だった。折しも海岸で黒焦げの焼死体が発見され、保険金殺人事件としてニュースで大きく取り上げられていた。真相究明に乗り出した矢先、トラブルメーカーの弟ジャックが訪ねてくる。(goo映画より)





一応「ミステリ」ジャンルに入ってますが、謎解きよりも犯罪とその周辺にいる人間関係に焦点が当てられ、フランス映画らしいユーモアとペーソス溢れるプロットに面白く見れました。
昔観たジャン・ギャバン演じる「メグレ警視」シリーズを思い出したのですが、どうやらクロード・シャブロル監督はこの作品で「メグレ警視」シリーズの作家ジョルジュ・シムノンと歌手ジョルジュ・ブラッサンスにオマージュを捧げたみたいで納得です。



燃え尽きた車体と黒こげの死体と言うショッキングながらも、どこか静かな印象を与えるオープニングシーンから始まり、ラストカットにそこが繋がって行く人間の哀しさが印象的です。

主人公は名物警視、ベラミー。
夫婦水入らずで休暇を取っていた彼のもとに人を殺したかもしれない、と言う不思議な相談が男から寄せられます。
その男は浮気をしていて、愛人と逃亡資金を得るために人を殺したかもしれないと要領の得ない事を言います。



男と愛人とその妻が結ぶトライアングル。
被害者となったホームレスの男と、その男の元恋人。
そして、主人公となるベラミー刑事と妻と、ベラミーの異父弟ジャック。

一見交わりそうもなさそうなのに、男の捜査を進める内に知らず知らずベラミー刑事は自分と険悪な仲でありながらも兄弟故に繋がりを持ってしまう弟との関係を直視する事になります。
そして温厚で人徳のあるベラミー刑事は、過去の自分の罪を思い出す事になり、そこに人間の複雑さを感じさせられます。誰にでも、どんなに人徳がありそうな人間も罪を抱え、その深淵を知らないフリをして生活を送り、人生を積み重ねていく。


ベラミー刑事は数々の事件を温厚な手段で解決させてきた名物刑事らしい事は、映画を見ていると分かります。
美しく聡明かつセクシーな妻を愛する、びっくりする程の愛妻家。
ベラミー刑事と妻が中年なのに始終いちゃいちゃしてるのは、なんだかほのぼのとした物を感じさせるし、容疑者の男との対比ともなっております。
一人の女を一途に愛する男と、知らず知らず魔性の女に堕ち、妻を裏切り人殺しまでしてまった男。
一方、被害者となってしまった男に瓜二つ(ジャック・ガンブランの2役)のホームレス。
裕福な家庭に生まれながらも、汚れた社会に絶望し、ホームレスにまで堕ちてしまったものの、その心の美しさは変わってないと元恋人から愛される男。

捜査する男、捜査される犯罪者の男、殺されてしまった被害者。
立場が正反対な3人の男たちの周囲に張り巡らされる人間関係。
事件を捜査する事で、この三人の男たち及び周辺の人間関係がさざ波の様に変化するのが味わい深くゆったりと描かれております。

ベラミー刑事には年の離れた異父弟がいるのですが、血の繋がった兄弟故に、凭れ合いながらも反発しあい、受け入れながらも受け入れ難い部分を二人は抱え合っていて、なんだかわかるなぁ、と思いました。
昼間から酒を飲んでは酔っぱらい、招かれた家にて平気でお金を盗む、どうしょうもない絶望を常に抱えた弟はいつも眉間にシワを寄せ苦し気である。
対照的に世間からも高評価の兄を恨みがましく見て、罵るのもわからなくもない。
ふたりの会話からこの兄弟は出自が貧しい事が伺われるのですが、兄は努力してどん底から這い上がり、今の地位を得た故に、堕ちていく弟が許せない。
弟は弟で成功し、楽しそうに生活している兄が許せない。
この二人の違いは、ベラミー刑事の側に微笑む妻の存在の有無であり、劇中に何度か示唆させるシーンがあります。
もしもベラミー刑事にこの美しくも聡明な妻がいなければ、ベラミー刑事も弟の様になっていたのかもしれない。

積み重ねられる日常の中で、いつ人間は「そっち側」に渡ってしまうかわからない。

害者と被害者と言う対照的な2役を演じたジャック・ガンブラン。
ちょっとした違いから、殺す者と殺される者へとなる同じ顔をした二人の男。
対立しつつも相互依存を繰り返す兄弟。
あなたは私であり、私はあなたである。そんな言葉が思い浮かぶ。


ファーストシーンの黒く焼け焦げた死体へと繋がるエンディングは澄み切った青い空の効果もあり哀しい。

シャブロル監督作品は余り観た事がないのですが、円熟の味を感じさせられます。
この作品が遺作となってしまったのが残念です。
そしてこの映画に彩りを添える対照的な3人の女優たちが、大変魅力的に映されております。さすがフランス映画だなぁと思います。

| 映画*K | 20:14 | comments(0) | - |
偽りなき者/Jagten 2012デンマーク
偽りなき者/Jagten 2012デンマーク
マッツ・ミケルセン
トマス・ボー・ラーセン
アニカ・ビタコプ
ラセ・フォーゲルストラムマ
スーセ・ウォルド

監督: トマス・ヴィンターベア


デンマーク、田舎町の11月。
離婚したばかりで、愛息マルクスに会うのもままならないルーカスだったが、今年も仲間たちと恒例の狩りで大いに盛り上がった。
慣れない独り暮らしの日々も親友テオ一家をはじめ友人たちが支えになってくれるし、勤め先の幼稚園では子どもたちに慕われている。
ところが、ある日、テオの娘クララが園長に口走った作り話が大きな波紋を広げ、ルーカスは変質者として追い詰められてゆく…。(goo映画より)





評判になってるだけあって面白いと言うと語弊がありますが、見応えのある映画だと思いました。
北欧映画らしい、ひんやりとした空気感ある映像は美しいです。
全く無駄のあるシーンはありません。全てが何かに繋がっています。
人物のクローズアップを多用しており、スクリーンに映し出される顔や表情に重みがあり、効果的です。
特にクララ役の小さい女の子。
演技なのか地なのかわからなくてスゴいなと思いました。おそるべし小さな女優です。
そして受難にさらされる「北欧の至宝」と呼ばれるマッツ・ミケルセンの怒りを静かに飲み込み、尊厳をかけて闘う演技。
「北欧の至宝」と呼ばれるのは伊達じゃないと思わされます。







!結末には触れてませんが、ややネタバレ的な部分があります。!

内容に関してちょっと考えがまとまらないのですが、感じた部分を挙げてみようと思います。
まず公式サイトを見ると、監督は「ネット社会による噂の伝達」「それに伴い魔女狩り、村八分」」などをこの映画を作る際に、テーマにしたみたいです。
しかし映画はストレートにネットでどうのと言った内容ではないですし、ネットやPCの欠片も出てきません。
どちらかと言えば、小さな村(町?)で起こったさざ波とその結果。
住人たちの静かな狂気を描いております。
狂気と言っても、割とどこにでもありそうな、起きてる事だと思いますが。


話の概要は知っていたので、恐怖にドキドキしながら観に行ったのですが(悪く無い主人公が迫害される映画を見るのはツライ)映画のオープニングは意外な程明るく陽気でアレ?となりました。
しかしこの明るさに、後々の展開として人間の本質が出てくるのが対比的。


英語タイトルは「THE HUNT」狩猟。
タイトル通りに、主人公ルーカスは村の狩猟会に所属しております。
この狩猟会はこの村で、成人した男になった儀式の一つとして取り入れられ、後々男性だけのグループとして週末に狩猟をしていたり、集まったりしております。
外国と言えば男女混合イメージが強いので(笑)男だけと言うのが意外です。
そして、劇中でルーカスは鹿を狩猟しますが、いつの間にかあらぬ噂のせいで村の人々から「狩られる」側になっているのが恐ろしいなと。


狩られる理由として、「幼稚園の先生をしてたルーカスが、園児の女の子に性的虐待をした」と言うのが理由となります。
もちろんこれは少女の嘘・・・と言うか子どもじみた感情の機微から発された厄介極まりない嘘なんですけど。

何故テーマである「魔女狩り」の切っ掛けとして、この題材を選んだのかなとちょっと思ったのですが、幼児への性的虐待って同情の余地が全くない、つまりこんな事をする奴には自分たち普通の人間が何をしてやってもいいと思わせる犯罪だからじゃないかな、と思いました。あと物的証拠が少ないので真偽が分かりづらいので、黒か白か判別が難しい。
もちろん観てる側はルーカスがやってないのは知っているし、劇中でもかなり人格者として描かれているのでそんな事をする人間ではないのですが、確かめる手段が少ない。


その「魔女狩り/村八分」の下地はオープニングシーンから既に表出されていて、まずルーカスの職業。
やはりデンマークでも男で幼稚園の先生と言うのは異色と言うか、男らしくない仕事、男の癖に…と言う印象を持たれているのがなんとなく伝わります。
(実際、男性の幼稚園教師が複数の園児に性的虐待をした事件があるので)
そしてルーカスに心を寄せる同僚の女性も、どうやら外国人らしく彼女も女性だらけの職場の中でどこか区別されている存在。
意識はしてないんだろうけど無意識にそういう空気は感じてそうだし、だからこそ同じ異質な存在であるルーカスの優しさに惹かれたのかなと。
そういう描写から、この村があまり開かれていないものを感じさせます。

そして、被害者とされる少女クララ。
この子はルーカスの親友であるテオの娘ですが、両親からぞんざいな扱いを受けているのが冒頭のシーンで描かれていて、家の中に居場所がない感じがします。
弱い子どもの言葉によって「なんとなく異質」な男が狩られる側に仕立てられていく姿は、二人の立場は正反対に置かれても近い場所にいる錯覚を起させます。
そういう無意識下の負の感情が火の様に燃え広がった時に、主人公の周囲がどうなるのか、見えきます。

私はこういう人がいたら自分はどう振る舞えるのかな、と思って観てました。
観た人が自分を省りみさせる力がこの映画にはあります。


ラストの結末は、平穏を取り戻したかに見えたからこそ人間の怖さを感じさせます。
そう言えばこの映画はクリスマス映画でもあるのですね・・・
「ワンナイトインモンコック」と暗黒クリスマス映画カテゴリーに入れておこう。



| 映画*A | 21:29 | comments(0) | - |