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Ninth

日々観た映画についての記録と備忘録
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甘く美しい記憶がいちばん残酷な時『ミステリアス・スキン』グレッグ・アラキ


『ミステリアス・スキン(謎めいた肌)』mysterious skin (2004)
監督:グレッグ・アラキ(Gregg Araki)
原作:スコット・ヘイム
出演:
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
ブラディ・コーベット
ミシェル・トラッチェンバーグ
エリザベス・シュー
メアリー・リン・ライスカ
ビリー・ドラゴ


レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイフィルムフェスティバルから改名)グレッグ・アラキレトロスペクティブにて改めて再見。

グレッグ・アラキはわたしが初めて観たゲイアイデンティティを強烈かつ前面に出した映画作品『リビング・エンド』の監督です。
当時は文学・映画共に自身や周囲に蔓延するAIDSの悲嘆を表現・治癒しようとすることで、よりゲイアイデンティティにクローズアップして闘おうとしたのかもしれません。
(HIVは同性愛者だけが罹る病ではありませんが、第一号患者がゲイであった事や、サウナハウスなど旺盛なゲイカルチャーに他者の目がいきやすいのは容易に想像できます)


主演は今はハリウッド映画で主演も演じ、人気実力共にあるジョセフ・ゴードン=レヴィットですが、なぜか公開される機会はありませんでした。

再見して改めて素晴らしい作品だと実感しました。

オープニングの映像が秀逸です。
白い画面からポップでカラフルでスイーツの雨が降り、そして輪郭がはっきりと現れた少年の顔に

幸福の象徴のようにシリアルが降り注ぎます。
このオープニングでこの少年が一体何に囚われているのか分かります。


簡単に言えば、この話は幼児期に大人の男によって巧妙な手によって幼児性虐待を受けた

ふたりの少年(のちに青年)の話です。
しかしこの言葉の持つ陰惨さと大抵の人間が想像するような「イメージ」と裏腹に、

映画のトーンはどこまでも優しいのです(痛ましいシーンもありますが)

だからこそ余計に、徐々に明かされるオープニングでの天から降ってくるカラフルでスイートな

シリアルで表現された「愛された」と身体と記憶に刷り込まされた不幸さが余計に引き立つのです。
そして観客はそのやるせなさと、甘美な絶望感に衝撃を受けるのだと思います。


また、陰惨で残酷なテーマながら甘美さすら感じさせるのは、彼らを包む世界に心優しい友人たちの

存在があるからだと思います。
『リビング・エンド』共に絶望の中でも見守る理解者の存在が光ります。

人は孤独な存在である(フィメールの複製を部屋に飾る、陽性患者であるJGLの客の一人である

ビリー・ドラゴなどを見ると顕著)けれど、それでも誰かに素肌を触れて欲しい、触れたい、

そんな切実さを感じさせ、それが甘美な痛みとなって胸に迫ります。


巧妙な手段で(小児性愛者自身が自分も幼児に還りたいのでは?と想像させる描写)

リトルリーグコーチの性的犠牲者となってしまった一人の少年(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、

その記憶を「この世で一番愛された時間」と錯覚し、田舎町で男たち相手にあてどもなく売春を繰り返し

その記憶をやり過ごします(彼のセクシャリティの自認はコーチによる性虐待の前からゲイであった事も

彼の傷を複雑にしているのかもしれません)


この少年を演じるジョセフ・ゴードン=レヴィット(以下JGL)は驚くほどカメラの中で

投げやりで諦観しながらも輝いており、まさに劇中で彼を好きな親友から「輝いていて目が離せない」

と言われるに相応しい演技と存在感があります。
これこそグレッグ・アラキにしか撮れないJGLの「その瞬間/いちばん美しい瞬間」を

カメラに収めたのだろうなと思いました。
少年時代を演じた子役の子も、もの凄い演技で理解して演じてるんだろうなと思うと複雑です。


主役のJGL以外のキャストもひとりひとりこれまたいい面構え(性虐待者役のコーチや少年ふたりの母親ふたり、

JGLの友人、JGLに触れてもらい喜ぶ客)と存在感を放つキャスティングです。
特に子役への役の説明は大変であったと思いますが、グレッグ・アラキは役者の演出が上手い人なのだと伺えます。

もうひとりの、被害者である少年がいます。
彼は自分が宇宙人にさらわれたと思い込むことで不幸な時間を忘却して生きております。
そんな彼が核心に近づき、JGLと記憶の共有をする夜が雪降るクリスマス。
シガーロスの包み込むようなスコアと、俯瞰で遠ざかるカメラワーク。
少しでも彼らの殺された記憶を癒してくれたならと願わせる演出だと思います。


まだ物事を明確に理解しきれていない少年時代に(大人すら理解できないのだから)愛だと刷り込まされた

大人の肉欲塗れな欲望。
だけど、周囲の理解者たちに、記憶を共有したもう一人の自分と、記憶に刻み込まれた出来事は消えないけれど

前に進むことは出来る…前に進んで欲しい…そんな監督の優しいまなざしを

遠ざかるエンディングのカメラワークから感じました。
これ以上にない、甘美で残酷で優しい記憶の映画。


日本語版ソフト化を切に希望します。

 

 

◆原作
https://www.amazon.co.jp/dp/B01C70W74W/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

◆インポート版
https://www.amazon.co.jp/MYSTERIOUS-SKIN-Joseph-Gordon-Levitt/dp/B00HQVB0Q4/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1469359299&sr=8-1&keywords=mysterious+skin

| 2016年映画鑑賞 | 18:33 | comments(0) | - |
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