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Ninth

日々観た映画についての記録と備忘録
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愛・感情の搾取 『彼方から』ベネズエラ、 メキシコ@レインボー・リール東京

レインボー・リール東京(第25回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)にて鑑賞

彼方から
英題:From Afar/原題:Desde Allá
監督:ロレンソ・ビガス 2015|ベネズエラ、 メキシコ|93分|スペイン語

2015年ヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞



素晴らしかった。
映画がその人の中に入り込むマジックにこの映画によって、見事に嵌ってしまった。優れた映画とは個人の記憶や過去を手繰り寄せてしまう。

フランス映画『イースタン・ボーイズ』が倫理的かつ娯楽的作品なら、こちらは根底に流れる人間の感情の搾取故の悲劇。
「愛する事」は知っているけれど、愛することが出来ない本人にもどうする事もできないどうしょうもなさ。

裕福な中年男アマルンドはカラカスで見知らぬ青年たちを買春します。
買春した後の「行為」を見てもわかる通り、アマルンドは相手の身体に触れない。そこから彼の特質が一つ浮かび上がる。
アマルンドは「見る」。
買春相手を見る。
そして父親に対しても、声をかける事もなく遠目から見る。
アマルンドの「見る」行為は消極的支配行為にも見えるが、敗者のようにも見える。

「見る」行為について考える。
アマルンドが対照を見るように、わたしたち観客もまたアマルンドが「見る」行為を見ている。

アマルンドは不良の少年エルダーを買春しようとするが、それは失敗に終わる。しかしふたりは妙な縁で繋がる。

台詞は極端なほど少なく、極力ふたりの視線やゲイ/ヘテロ(ここも実は…人間のセクシャリティとは簡単に分断できるのか。違うとわたしは思う。そしてそこに近親相姦的なものを考える)売春/買春する側と対極的な2人のやり取りは緊張で張り詰めている。

アマルンドとエルダーは義父子関係にも見えますが、その関係も唐突に一方的に壊される。
なぜ、どうして、と思いつつ、人間関係とは社会に求められた役割を演じてるだけだろうと本作は無言で挑発してくる。
そして対になる様に、視線はアマルンドからエルダーへと以降する。
誰にも見られなかったアマルンドを「見る」エルダー。

始終緊張感と張り詰めた空気の中で描かれる中年男と息子程の少年(青年)との視線の交わし合いと言うとダルデンヌ兄弟の『息子のまなざし』 を想起させます。
映画本編で明確に語られる事のない親子・家族・父子。「父」の存在について各々考えさせられるんじゃないでしょうか。

映画冒頭、アマルンドの顔は買春対象の青年の背後で顔がぼやけて見えません。
それこそがこの男の本質…それはつまり逃れられない父からの呪縛により「顔」を失われたこと。
顔がないから身体性もなく、だから「見る」事で気配を消す。身体はあるけれど亡霊のように実態はない。


年齢も生まれた環境も違うふたりを結びつけたのは間違いなく「父」と言う存在であり、そして中年故に捕えられたままのアマルンドはもうその呪縛から逃れることは出来ない。
この「父」の呪縛とは父権性の強い製作国ベネズエラ・メキシコも関連しているのかもしれません。

アマルンドの悲劇とは、例え憎い相手が死んでも、記憶に刻みつけられ、人生において亡霊のように生き、「愛する」行為を頭で理解していても拒否してしまう人間へと教育し、調教した父である。

だから未来ある行為に向けられた「それ」を受け入れることも素直に喜び解放されることもない。

もう既に人生に於いて影のように、父の呪縛によって生きてきて変えようもない悲劇が映画冒頭によって現れているように思えました。



| 2016年映画鑑賞 | 17:40 | comments(0) | - |
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